nigamusi
タナダユキ監督は女性心理を自然体で描くのがとてもうまい。今回の『百万円と苦虫女 』も将来に不安を抱く主人公の微妙な心理を絶妙な間と演出で見事に表現している。

どちらかというとおとなしく、自己主張がうまくできない鈴子(蒼井優)は、まわりの人間に振り回され、ある事件をきっかけに前科者になってしまう。 彼女は家族に迷惑をかけないために、一人で生きていくための資金100万円がたまったら家を出て、100万円貯まるたびに居場所を転々とするという自分なりの生き方を決めて実行に移す。

だれも自分のことを知らない環境をつくり、人との関係性づくりをできるだけ行わない生活を続けようと試みるが、なかなかうまくいかない。

今の世の中、将来への不安、格差社会に対するあきらめ感から、主人公のような感情を持って生活している若者は案外多いのではないかと思うが、そんな中でも負けてはいけない、前向きに生きていこうというようなメッセージがこの作品の中に込められているような気がした。

蒼井優と森山未来の男女間の微妙なやりとり、間の取り方がとても良いです。(★★★☆)