映画「長い散歩 」は 奥田瑛二監督の渾身の一本である。物語は緒方拳演じる松太郎が家を出て、小さなぼろアパートに移りすむところから始まる。引っ越し初日から隣の部屋で少女( 杉浦花菜)が親( 高岡早紀)から虐待を受けている事を知り困惑するが度重なる虐待を目の当たりにして、彼女を助け出す事を決意する。そして、彼女と希望を見つけるための旅にでる。そしてこの旅が、彼女を救うためだけの旅ではなく、松太郎自身の人生観を変える旅になる。
一見地味で単調な映画なのであるが、物語全体で訴えかけられるテーマは重く、人間社会で最も大切な事が浮かび上がってくる。
少女と接する中で松太郎は自分の人生と生き方を振り返り、家族に対してに後悔と償い、そして社会に対する憤りの念を感じる。
旅の途中で 松田翔太演ずる青年に出会うが、彼の存在が映画自体のテーマ性を広げるきっかけをつくる。教育とな何なのか、人々が幸せに生きる社会とはなんなのか、世界中で起こっている悲劇は何が原因なのか?
この映画は見る人によっていろいろな解釈のされかたがあると思うが、社会の最小単位である家族の問題を真正面から取り上げた映画であることは間違いない(★★★★☆)。