戦争映画はあまり好きではないが、今回のクリントイーストウッド監督の「硫黄島からの手紙 」には戦争の悲惨さを感じると同時に、戦争というものを二度と起こしてはならないという思いを強く抱かせられた。
硫黄島自体なんの資源もない場所で、ただ戦略的な重要拠点というだけで、多くの兵士たちが戦い、命を落とすのである。
主演は渡辺謙演じる栗林中将であるが、裏の主役として二宮和也演ずる一兵卒、西郷の存在があり、この二人の関係性が物語を引っ張っていく。
この映画ですばらしいところは、登場人物の設定であり、その設定から戦争によって狂わされるそれぞれの人生が語られ、大切なものは何なのか、なぜそうしなければいけなかったのかという重いテーマを突きつけるところにある。
「お国のため」「家族のため」「愛する恋人のため」という必要性を自分にいいきかせながら戦う気持ちの問題。そしてなぜ知らない相手を殺さなければいけないのかという戦争への疑問、それらが登場人物それぞれの関係性の中で表現される。
中でも心が痛んだのが兵士の「自決」のシーンだ。こういう場面は他の国が舞台になった戦争映画には描かれることは少ないだろう。
私はこれほどまでに、戦争というものに真正面から向き合った日本側から見た戦争映画を見たことがない。「硫黄島からの手紙」は日本人として、見ておく必要がある映画の一つであることは間違いないだろう。(★★★★☆)