yureru 兄弟の関係とはどのようなものか。兄弟の間にはそれそれの兄弟にしかわからない確執とも言うべき心のうちがある。映画「ゆれる 」はこの兄弟という関係のなかで生まれる心の内を実に生々しく表現した作品である。
物語は一見、ミステリーのように思える。弟、猛(オダギリジョー)が母の一周忌で帰省し、実家の事業を継ぐ兄、稔(香川照之)と兄店でアルバイトをしている智恵子(真木ようこ)が再会、思い出の渓谷に出かけるが、吊り橋から智恵子が転落する。橋の上で呆然とする兄。駆けつける弟。事故なのか、殺人事件なのか兄弟の生々しい心の内が表面化し、それが試される。
弟は兄を信じるのか疑うのか、救うのか見捨てるのか、奪うのか許すのか。それは最後までわからない。
この映画ですごい所は台詞の中に心情を解説するような説明的な表現がほとんど見当たらないことだ。各俳優陣が現実で話されるであろう会話の中でそれを演技で表現してくれる。
オダギリジョーのストレートな演技、香川照之の目の奥と背中で語る表現力、そして脇をかためる個性派俳優達の演技。
こんな生々しい。人間の心の内の深いところを表現している映画は久しぶりのような気がした。おすすめです。(★★★★☆)

上映後、西川美和監督と香川照之さんの舞台挨拶を見ました。西川監督はこの物語を夢で見た光景を題材につくりあげたそうです。香川照之さんは実に役者らしい、魅力的な方でした。映画のを見た佐藤浩市さんに、自分の演技をほめられた事をとても喜んでおられました。