この世界観はなんなんだろう。バグダッド・カフェのようで、そうでない。西部劇のようでそうでない。メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬
はメキシコ国境付近の貧しい田舎町の物語である。この作品はメキシコからやってきたメルキアデスという青年が国境警備隊に射殺されるという事実が起点となる。そしてそこから、人生とはなにか、生きるとはなにかという事を、「埋葬」というキーワードで綴られる。
タイトルのとおり、メルキアデスは3度埋葬される事になるのであるが、それぞれの埋葬には、社会的な側面が反映されており、主人公ピートの視点でその意味が浮き彫りにされる。自分と他人、過去と未来、そして自由と孤独。
直接的な台詞にはないが、登場人物の描写や出来事から、人生にとって大切な事を提起する。
人間は生活を営む上で「仕事」、「家庭」、「社会」という三つの側面を持っているとよく言われるが、そういった観点でこの映画を観ると、物語の奥深さをより感じる事ができるだろう。
バーで演奏される調律の狂ったピアノが哀愁をさそいます。(★★★★☆)