アルテ・ポーヴィラ(Arte Povera)とはイタリア語で「貧しい芸術」を意味する。これはオプティカルアートやポップアートに代表される「豊かな芸術」アルテ・リッカ(Arte Ricca)の流行とは相反する芸術の事で、材木や石、鉛、ぼろぎれなどの非芸術的なモノそのものに、自らの身体や思考を結びつける事によって生み出されたアートである。このアルテ・ポーヴィラの展覧会が2005年万博記念として豊田市美術館 で開催されていた。

アルテ・ポーヴィラの作品は 日頃目にしている素材にある一定の法則性を持たせたり、通常利用すべき視点とは逆の視点からそのものの造形をとらえたり、自分のイマジネーションを付け加えたり、その表現はさまざまだった。中でも私が興味を持ったのは、ジョゼッペ・ペノーネの作品で存在するモノの感覚的な造形を感じる事ができた。例えばテラコッタ(素焼き)の作品で「息吹」というものがあったが、これは自分の息を造形として表現しており、直接肉眼で見ることはできないが、全ての人間がする呼吸を造形化している。また布を使った「まぶた」という作品においてはまぶたを「視覚」と「触覚」がふれあう場所ととらえ、その感覚を転写・拡大とう手法を用いて見事に造形化している。
これらの作品は一見なんの変哲もないように思えるが、身近にある素材で作られているだけに一旦その制作意図に気づくとその表現の奥深さに驚かされる。