こんにちは、HALです。

 

過去に補完食(離乳食)でのピーナッツの進め方の例を書いたところ、「その他のナッツ類についての進め方も知りたい」という反響をいただきました。

 

 

 

 

消費者庁が3年ごとに行なっているアレルギー調査があるのですが、一番最近の令和3年(2021年)の報告を見ますと、即時型食事アレルギーの原因食材として、木の実類(ナッツ類)のアレルギーがかなり増えています。

 

 1位 鶏卵🍳

 2位 牛乳🥛

 3位 ナッツ類←

 

と、なんと第3位に上昇しています。

 

年齢別で見ましても、ナッツ類は1、2歳での食物アレルギーの原因の第3位、3〜6歳の食物アレルギーの原因では、なんと第1位となっています。ただ、こちらはあくまでも症状を起こして受診した方の数なので、全部の患者数というわけではありません。

0歳のお子さんではランク外になっているのは、単純にほとんどの方が食べさせていないからではないかと推察されます。なので、0歳なら起こさないというわけではありません。

1歳以降で初めて食べさせて、そこで症状を起こして初めてアレルギーに気づいた、という方が多いようです。

ナッツと言っても種類がいろいろあります。

ショック症状を起こしたもので解析すると、その半数はクルミ、以下カシューナッツ、アーモンド、ピスタチオ、マカダミアナッツ、ペカンナッツ、ミックス・その他となっています。

 

ナッツ類に関しては、早期導入がどれだけアレルギー発症予防に寄与するかはまだはっきりした結論は出ていません。ただ研究は進められており、例えばカシューナッツの場合1歳未満に導入するとアレルギー発症リスクが低くなる可能性がある、というような論文も出ています(ほむほむ先生のブログで紹介されていたのでリンクを貼らせていただきます)。

 

 

 

また、身近な商品にも意図せずナッツが入っていることも多々あります。少しお子さんが大きくなりますと「親がいないところで菓子パンを食べたら、それまで食べたことがない胡桃が入っていて」というような状況も考えられますし、そういった時に「実はアレルギーがあって強い症状を起こしてしまった」というようなことは避けるに越したことはないと思います。

それを考えますと、どこかの段階で導入し、少量からアレルギーチェックをしておいた方がいいかなと思います。

 

補完食の視点からは、WHOの補完食のガイドラインでも

"ナッツと種子を焼いたり炒ったりした後、ペースト状にすりつぶす"

"これらはたんぱく質とエネルギーの両方に富み、よい補完食となります。"

等の記載があります。

 

私個人としては、アレルギー予防の観点からはまだはっきりしない部分もあるので、まずは他の重要な食材(卵など)の導入を優先し、焦って急いで導入する必要はないと思っています。

しかし、遅らせすぎると理論的には感作のリスクが上がるので、どこか早めのの段階で導入してもよいのでは……と思います(特に、ナッツをよく食べるご家庭など)

補完食の観点からは補完食期(離乳食期)に導入してOKですので、誤嚥しにくい食べやすい形状(ペースト状もしくは細かい粉末状)に加工して食べさせればよいかと思います。誤嚥のリスクがありますので、そのまま丸ごとや、大きなかけらがあるようなものは食べさせないでください。

何ヶ月から、何歳からということはありませんので、他の食材の導入(アレルギーチェック)が落ち着いてからでよいので、少量からスタートして試してもらうとよいと思います。

 

 

文字数制限ではねられたので、記事を分けます。次回に続く。すみません。

 

 
 

ただ、進め方をどうするかは難しいところです。

いくつか調べたのですが、今海外で行われているRCT(ランダム化比較試験)のプロトコルで、各ナッツ類を家庭で進める時の量が慎重かつわかりやすかったのでご紹介いたします。

 

*これが絶対に正しい進め方ではなく、それ以外でも問題はありません。少量から徐々に増やしてください。平日日中の小児科があいている時間にお願いします。

*これをやればアレルギーが出ないというものではありません。

*湿疹がある、もしくは乳児湿疹がひどかった、アレルギーの家族がいるなど、アレルギーのリスクの高い方は主治医の指示に従って進めてください

*ナッツ類そのもの(丸ごと)は誤嚥の危険があります、必ず粒がないスムースタイプのナッツバター・ナッツペースト、もしくは非常に細かい粉末になったものなどを準備してください。

 

1日目 唇(頬)の内側になすりつける程度

2日目 小さじ1/8

3日目 小さじ1/4

4日目 小さじ1/2

5日目 小さじ1

 

この量を、野菜などのペーストに混ぜてあげたり、ナッツバターそのもので食べさせてあげます。先日紹介したピーナッツとほぼ同じ増やし方ですね。

様子の見方はピーナッツのやり方と同様でよいかと思います。

以前の私の記事から引用しますと、

最初は、スプーンの先端に少量乗せて食べさせて、10分ほど様子を見ます。皮膚が赤くなる、ぶつぶつが出る、咳が出る、吐く、様子がおかしい等のアレルギーの症状が出なければ、残りの分も食べさせてあげてください。即時型のアレルギーは多くは2時間以内に症状が出ますので、食べさせた後も様子を見てください。

 

細かい内容はこちら。

 

一度導入したら、それ以降絶対アレルギーを起こさないというわけではないので、あまり間が空きすぎない範囲で食べさせていくとよいかと思います。(ピーナッツの場合は、"小さじ2まで症状なく進めることができたら、週2〜3回、ピーナッツバターをあげます。"という感じなのですが、全てのナッツでそれをやるのは困難かと思いますので、無理ない範囲で……でよいと思います)


ただ、問題はそんなにペーストが売られていないことかもしれません。

 

字数制限になったので次回に続きます。

 

 

海外製でsmoothと書かれているものは通常粒なし、crunchと書かれているのは粒ありタイプなので、そこでみわけるとよいと思います(が、smoothと書かれているものでも多少の粒がある場合があるので、試してもらうしかないかも)

 

いくつか過去に私が使おうかと検討した、ナッツペースト・パウダーをあげておきます(もし使用して「これは粒がありました」という場合には教えていただけますと助かります)。私も今度余裕ある時に試してみようと思います。

*表示されない場合はコンテンツブロッカーをオフにして表示してみてください。

 

 

 

くるみペースト。原材料はくるみのみ。砂糖食塩不使用。

粒の有無は調べたけれどわかりませんでした。値段も手頃で量も使いやすそう。


 

 

くるみパウダー。

原材料くるみのみ。砂糖食塩不使用。

いくつかパウダー商品は売られているのですが、写真で見た範囲だと一番これが粒が小さいように思いました。

 

他のナッツ類の紹介は字数制限になったので、次回に続きます。

 

ちなみに我が家はどうしていたかというと……という話まで書くと長くなるので、次回以降に回したいと思います。

 

 

ピーナッツの導入についてはこちらをどうぞ。

 

 

 

参考

 

 

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/pai.13930