地獄のデビル・トラック | あの時の映画日記~黄昏映画館

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あの日、あの時、あの場所で観た映画の感想を
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 地獄のデビル・トラック(1986)

 

仰々しく、彗星の尻尾に入った地球に関する描写があった後、道路に架かっている跳ね上げ式の橋が勝手に上がってしまうことから、横断しようとしていた車が次々と横転しパニックになるという序章はなかなか優秀で、これからどんな展開になるのだろうと期待を持たせる。

 

やがて、あちこちで機械が人間を襲うという事例が頻発するようになり、例えば、自動販売機の缶が人間を襲ったりする。

(ちょっと笑っちゃいますけどね)

 

物語の中心となるのは、トラックが給油に訪れるレストランを兼ねたガソリンスタンド。

このガソリンスタンドに、無人のトラックやら重機やらが集まってきて、中にいる人間たちに襲い掛かってくる。

さて、どうなるか!という一編で、原作者のスティーヴン・キングが自ら監督もやってます。

 

突然、意思を持たないはずのものが大量に人間を襲うという図式は、ヒッチコックの『鳥』で人間を襲う野鳥をトラックに置き換えただけのようにも思えるが、それでも『トランザム7000』(1977)や『コンボイ』(1978)のトラック軍団が襲い掛かってくるような重量級のトラックたちが砂埃をあげながら、人間を追いつめる場面はなかなか見応えがある。

 

都合よく地下に大量の武器があり、それを使ってドカンドカンとトラックたちをやっつけるシーンも勇ましい。

 

こういった正面からの対決シーンでずっと引っ張ってもらいたかったのだが、終盤、危機脱出アクションものに変わってしまってから急につまらなくなり、尻すぼみになってしまった。

 

あと、時々挟まれるラブシーンも無駄。

作品のテンポを悪くしているのに、キング監督は気づかなかったのであろうか。

 

機械を作って利用する側の人間が、逆に機械に支配されるという皮肉めいた警告をも込めたかったようだが、この作品の制作時点でも古臭いテーマ。

 

とってつけたようなエンディングも肩透かし。

僕なら、すべての機械の反乱は謎のままで、絶望的なエンディングにするね。

 

目立たないが、チャーリー・シーンの息子の、エミリオ・エステベスが主演。

顔つきがお父さんによく似ている。

途中、お父さんが主演した『地獄の黙示録』(1979)のパロディシーンがあるのは、監督の遊び心か。

 

このアイディア。

こんな田舎のガソリンスタンドなどではなく、ニューヨークのウォール街辺りを舞台にして、もっとハチャメチャな展開にしてほしかったね。

まあ、それでは予算が足りなくなるだろうけど。

 

獰猛になったトラックたちが襲い掛かってくる場面に流れる、AC/DCのヘヴィー・メタルはハマってました。カッコいい。

 

ツッコミどころは満載なのですが、愛すべきB級作品として記憶にとどめておきましょう。

 

 

『地獄のデビル・トラック』 Maximum Overdrive(1986)米

スティーヴン・キング監督 98分

1987年(昭和62年)7月日本公開