エクソシスト 信じる者 | あの時の映画日記~黄昏映画館

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あの日、あの時、あの場所で観た映画の感想を
思い入れたっぷりに綴っていきます

 

 エクソシスト 信じる者
(2023)

 

 

大ヒットした油田を発見したら、カラカラになるまで掘り続けるハリウッド。

最も顕著な例が『スターウォーズ』シリーズだと思うのですが、3部作として企画されているらしい本作も、どんどんつまらなくなっていった『スターウォーズ』シリーズと同様の道を歩むのだろうか。

 

タヒチ観光をしていた夫婦が地震に遭い、そのとき妊娠していた妻が胎児を遺して死亡。

胎児は成長して13歳の少女となるが、母恋しの感情が抑えきれず、友達の霊感が強い少女とある日降霊の儀式を行う。

 

森で行われた降霊式の間、二人は行方不明となり、三日後に発見されるが、保護された直後から二人の少女は奇怪な行動をとるようになり・・・

 

オープニングの犬が喧嘩しているシーンは、ああ、オリジナルの1作目もこんな感じだったなあと少しだけ感慨に耽ることができたが、そこからの展開は退屈。

 

悪魔憑きの物語なんて、今やサメ映画と並ぶチープな題材となってしまっているのだから、相当奇抜な展開でもないと関心が湧かない。

 

少女に異変が起こって、病院等に連れていくが原因がわからず、ドラッグや家庭環境も疑われるが結局古の神父による悪魔祓いを頼るという展開は、多少枝葉はついているがオリジナルとほぼ同じ。

ああ、またかという見方になってしまう。

どうしても比べてしまうのですが、オリジナルでは、恐怖を小出しにしながらも、クライマックスに向けての悪魔との対決は徐々に盛り上がり、壮絶ともいえるラストを迎えたのだが、本作の展開はいかにも平凡。

なかなかストーリーが前に進まないのだ。

監督、ウィリアム・フリードキンとデヴィッド・ゴードン・グリーンの差が如実に表れる。

 

キャストの弱体化も、つまらなくなった原因か。

オリジナルでリーガンの母親を演じた、エレン・バーンスティンが同じ役で50年ぶりに出演しているが、他のキャストは全く印象に残らない。

オリジナルで悪魔に取りつかれた少女リーガンを演じた、リンダ・ブレアがいかにすごかったのかを半世紀を経て改めて再評価することになったほど。

 

悪魔祓い側も、オリジナルでメリン神父を演じたマックス・フォン・シドウほどの存在感がないと、悪魔の強さが引き立たない。

集団作戦で悪魔祓いを試みるのだが、とてもとてもメリン神父を超えるものではない。

 

恐怖怪奇シーンも、オリジナルでは、これでもかというくらい畳み込んできて、首が回ったり緑色のゲロを吐いたり、ポルターガイスト現象で部屋の中が滅茶苦茶になったり、十字架を秘部に突き刺したりと、少々下品な見世物小屋と化していると思わせるほどで、それが魅力でもあったのだが、本作の恐怖シーンはお上品。

オリジナルのアナログな仕掛けからすると、ずいぶん進歩したようですが、技術の進化は作品の面白さに比例しないといういい例となりましたね。

 

ほんのワンカットだけ、オリジナルのリーガンを演じたリンダ・ブレアが同じ役で出てくる。

とってつけたようなエピソードだが、還暦を超えた彼女の登場シーンになんだか胸が熱くなりました。

 

 

『エクソシスト 信じる者』The Exorcist: Believer(2023)

デヴィッド・ゴードン・グリーン監督 111分

2023年(令和5年)12月日本公開