最強のふたり(2011) | あの時の映画日記~黄昏映画館

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 最強のふたり(2011)

 

十年一昔とはよく言ったもので、本作も公開されてから10年以上経つのですね。

 

主に、日本とフランスで大ヒットした感動的なヒューマン・コメディ。

パラグライダーの事故で首から下が不随になった富豪、フィリップと、失業保険を受けるために求職証明を受け取るために富豪の介護の仕事に応募する貧民街の黒人青年、ドリスとの交流を、実話をもとに描いています。

 

本作は、アメリカ映画かと思うくらい速いテンポと編集で進みます。

 

オープニングの夜のカーチェイスのシーン。

台詞の呼吸もよく、まるでコミックのようなオープニングタイトルから快調に始まります。

 

図式的にはありきたりなんですけど、深刻にならず乾いたギャグを挟みながら進んでいくので、この種の作品にありがちな重いムードにならないのがいいですね。

 

感心したのは、身体が不自由でも性欲はあって、そこを特別視した描き方をせずに当たり前に表現したところです。

妙なタブーを作ってそこに触れないようにしている作品が多い中、よくぞ普通に描いてくれたともいますね。

それでいて乾いていてジメっとしないのがフランス映画だなと思いました。

 

本作のレビューではすでに言い尽くされていますが、二人の関係が同情や憐みの関係ではなく、友情で成り立っているのがやっぱりいい。

笑える場面やグッとくる場面はたくさんありますが、フィリップの誕生日での音楽シーンがいいですね。

いつも自分を介護してくれる秘書や使用人たちが活き活きと踊っているシーンを見て微笑むフィリップの表情が何ともいいです。

 

サイドストーリーの細かい伏線も全部綺麗に回収されて、特にラストでは、「ドリス、お前カッコよすぎるだろ!」と突っ込みたくなるほど。

 

あ、あと、フィリップの伸びた髭をドリスが剃ってあげるシーンも名シーンですね。

 

台詞やファッションなどがいかにもフランス的な中にアメリカ映画のようなスラングを挟んでいるところも良かったです。

 

決して最強ではなく弱いところをたくさん持っている二人。

その二人の出会いが化学反応を起こして『最強の二人』となりました。

 

 

『最強のふたり』 Intouchables(2011)

エリック・トレダノ/オリヴィエ・ナカシュ監督

112分

2012年9月日本公開