セルピコ(1973)
警察腐敗を描いた、ピーター・マーズ原作のノンフィクションを、アル・パチーノ主演、シドニー・ルメット監督で映画化。
雨の夜、銃弾を受けて搬送される・セルピコ(アル・パチーノ)。
彼は、警察学校を卒業して意欲に燃えて警察官になった日のことを回想する。
胸躍らせて警察に配属された彼は、その中での腐敗にびっくり仰天。
摘発する相手と警察は賄賂でつながっており、頑としてそれを受け取らないセルピコは仲間であるはずの同僚警察官たちから裏切り者扱い。
扱いきれなくなった上部は彼をいろんな部署にたらいまわしにする。
上部に進言しても腐敗しきっている組織では全く埒があかないために、ついにセルピコは一部の信頼できる仲間たちと外部団体に告発しようとするのだが・・・
いかにも70年代らしい作品で、暗く陰鬱で、エンタメ的要素は全くありません。
ヒーローであるはずの主人公セルピコの格好も、ヒッピーのような薄汚れた服装と長髪に髭。
シドニー・ルメット監督も固くがっちりとした演出をしているために、最後まで一貫して重苦しいムード。
ダレるということは全くないのですが、あまりにも重苦しくて、観ているほうはやりきれなくなります。
後に知ったのですが、本作は最初に、『ロッキー』のジョン・G・アヴィルドセン監督を起用する予定で進んでいたのだという。
だが、制作側と演出方法で対立して、シドニー・ルメット監督になったのだそうです。
アヴィルドセン監督ならどんな作品になったのかななんて、ちょっと想像したりします。
本作が口火になったのか、
これ以降、警察腐敗や政治腐敗を描いた作品が乱発されることになります・・・
『セルピコ』Serpico(1973)米=伊
シドニー・ルメット監督作品 130分
1974年7月日本公開