『何かいいことないか子猫ちゃん』
スタンダップコメディアンとして名を派していたウディ・アレンが、
脚本と俳優として初めて映画に携わった記念碑的一篇。
物語は、
女性にもててモテて仕方がないピーター・オトゥールとその悩みを聞く精神分析医ピーター・セラーズ。
そしてストリップ小屋の衣装係として働くウディ・アレンを中心として、
彼等に絡んでくるロミー・シュナイダーら女性たちとのドタバタコメディ。
これ以上でもこれ以下でもない展開で、
クライヴ・ドナー監督の凡庸な演出のせいもあり、
なかなか贅沢な出演者に恵まれながらも作品自体は残念な仕上がりとなってしまった。
ウディ脚本らしく、
そのセリフには皮肉めいてウィットに富むものもたくさん見られるのだが、
その味のあるセリフを活かすことより監督はドタバタの方に重きを置いてしまったのが失敗の原因か。
ただ、このテーマでウディが再度自身が監督した、
『サマーナイト』も(1982)失敗作なので、
こういう群衆的艶笑コメディの料理は難しいのでしょうね。
でも私は全否定するわけではなく、
出演者全員がゴーカートで楽しくチェイスする場面などは無邪気に楽しめた。
そして、
個人的に一番好きなシーンは、
自殺を図ろうとする精神分析医のオトゥールの前で、
突然テーブルと椅子を運んできたウディがたった一人で自分の誕生日パーティーを開くところ。
さりげなくウディの人生観が出ているシーンだと思う。
先日夭折した、
バート・バカラックの音楽はゴキゲンです。
オープニングのアニメーションに乗せての主題歌が抜群にいい。
あと、衣装も素敵!
『何かいいことないか子猫ちゃん』What's New,Pussycat?(1965)
クライヴ・ドナー監督 108分