『動き出した もう誰にも俺たちを止める力はない!』のキャッチコピーがカッコよかったサム・ペキンパー監督作品。
保安官たちとのいざこざからクリス・クリストファーソンをリーダーとしたトラック軍団が暴走する。
積み荷が爆発物であることから警察やFBIも強硬手段をとることができない。
マスコミなどで事の顛末を知った市民たちは、
警察の横暴に反対し、
トラック野郎たちを応援する。
「続・激突カージャック」や「トランザム7000」「バニシング・ポイント」をなぞっているだけじゃないかと当時の批評に書かれて評価はそんなに高くありません。
しかし190台ものトラックのコンボイの光景が壮観なんです。
見事な見せ場になっています。
嫌われ者の保安官を演じるのがアーネスト・ボーグナイン。
まあ、お約束の意地悪な役柄なのですが、
彼の憎々し気な風貌も相まってなかなか楽しそうに演じています。
主演の“ラバー・ダック”のクリス・クリストファーソンは西部劇の主人公みたいでカッコいいです。
助手席に乗り込むヒロインにアリ・マッグロ―。
彼女の魅力がもう一つ足りなかったんですよね。
もっと弾けてほしかったなあ。
そして本作のもう一つの主役がCB無線。
トラック野郎たちの通信手段で、
これを最大限に利用して危機を突破したりする。
無銭独特の音質がたまらなくカッコいいんだ。
そしてカントリーウェスタンっぽい音楽もいいですね。
ペキンパー監督独特のスローモーションを多用した残酷ともいえるバイオレンスシーンを期待していた客には肩透かしだったかもしれませんが、体制に反抗して民衆に支持された主人公が命を懸けて危険を突破するシーンなどは、アメリカン・ニューシネマの名残を感じますしなかなか面白い作品だと思いますよ。
ペキンパー作品でこれだけ陽性の作品は珍しいですね。
でも“らしい”描写は随所にみられますよ。
機会があれば再見したい作品の一本です。
『コンボイ』Convoy (1978)
サム・ペキンパー監督作品 108分