ターミナル(2004)~主人公のモデルとなった男性が亡くなられた | あの時の映画日記~黄昏映画館

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あの日、あの時、あの場所で観た映画の感想を
思い入れたっぷりに綴っていきます

あの時の映画日記
もし海外旅行中に自分の祖国がなくなったら、

そして、異国の空港から出られなくなったとしたら・・・

 

というありえない設定を、監督の力量で最後まで描ききった作品。

 

2004年(米)

スティーブン・スピルバーグ監督作品。

『ターミナル』 原題:The Terminal

 

主人公ビクターは、父親との”ある約束”を果たすために、

飛行機でアメリカへやってきた。

 

が、なんとその旅中でクーデターで事実上祖国が消滅し、

パスポートが無効になってしまう。

 

そのため、ビクターは空港に足止め。

国籍がなくなってしまった彼は、言葉のわからない、

異国の空港で数ヶ月も滞在することになる。

 

空港。

このいろんな文化が交じり合うこの地で、

彼は生きていかねばならない。

 

当然、生きていくためには食料がいる。

食料を得るためにはお金が必要。

当然、長期間の滞在で所持金は底をつく。

 

また、このビクターの存在を快く思わない人間もいる。

国境警備員は早く空港から追い出したい。

だが、ビクターは空港にとどまり続ける。

 

父親との約束を果たすために、

彼はそこで待ち続ける・・・

 

と、ストーリーはこんな感じで、

スピルバーグ監督は相変わらず手際のいい演出でテンポよく見せてくれます。

主人公を演じるのはトム・ハンクス。

主人公が恋するキャビン・アテンダントにキャサリン・セタ・ジョーンズ。

豪華ですね。

 

ただ、いつものスピルバーグ演出より、

展開が定石的すぎて、盛り上がりに欠けてしまったのは何故だろう。

劇中では、ピーナッツの缶が大きな意味を持っているのだが、

その缶の存在が劇中薄くなってしまったのは残念。

尺がちょっと長かったな。

 

と、ここまでが2012年8月31日の記事でした。

報道によると、

この作品のモデルとなった男性が11月12日亡くなられたそうです。

モデルとなったメフラン・カリミ・ナセリさんは18年間空港で生活していたそう。

 

 

一旦は空港を離れていたそうですが、

数週間前にまた戻ってきて空港で暮らしていたらしいです。

映画の収入等があり、死亡した時も数千ユーロを所持していたというのですから、

生活に困窮していたとは考えられず、

ひょっとしたら新しい物語のヒントを探していたのかもしれないですね。

 

映画『ターミナル』は、トム・ハンクスとキャサリン・ゼタ・ジョーンズ共演のラブコメ仕立てでしたが、

実際の男性の生活は映画よりもっと波乱万丈だったのでしょう。

ご冥福をお祈りいたします。

 

『ターミナル』The Terminal(2004)

スティーヴン・スピルバーグ監督

129分