ウエストサイドストーリー(2021) | あの時の映画日記~黄昏映画館

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あの日、あの時、あの場所で観た映画の感想を
思い入れたっぷりに綴っていきます

どうしてもオリジナル、

『ウエストサイド物語』(1961)と比較してしまいますね。

 

 

傑作ミュージカルのリメイクを決断し実行したスピルバーグ監督の勇気は認めます。

オリジナルへのリスペクトもあちこちで感じることができました。

 

昔からの根強いファンがいるが故、

イメージが違うとかいう人はいっぱいいるでしょう。

コミックの実写化と同じで、

何をやってもたたかれるのはスピルバーグも承知のうえだったと思います。

 

頑張ったと思いますよ。

オリジナルが100点だとすると75点くらいかな。

街の表情とか、

オリジナルでは扱いが小さかったチノの性格描写とかよくやっていたと思います。

オリジナルではマリア役のナタリー・ウッドの歌が吹き替えだったりして、

「トゥナイト」のシーンがちょっとちぐはぐだったりしたんだけど、

リメイク版の方のマリアの歌唱力はいいね。

 

ただ、やっぱり残念な点が多々・・・

やっぱり、キャストが弱い。

トニーもベルナルドも魅力を感じなかった。

マリアも歌はうまいんだけどね、演技は微妙かな。

 

歌の使い方も、

「クール」や「クラプキ巡査への悪口」などは、

そこじゃないだろって。

 

多くの人が言っているように、

ダンスパーティーでトニーとマリアが出会うシーンは唐突過ぎて。

そして、いきなりキスでしょ。

あれはないね。

 

シャーク団とジェット団のおかれている社会的立場にも踏み込んでいるんだけど、

踏み込み過ぎてテンポが悪くなった。

トニーとマリアの丁寧なデートシーンもいらない。

このシーンがデフォルトとして刷り込まれているので、

これがなかったのも寂しかったかな。

 

クライマックスの四重奏のシーンも、

よくできているのにオリジナルほど興奮しなかったのは何故だろう?

 

オリジナルでも、

トニーとマリアよりもアニタとベルナルドが印象を強く残したけど、

リメイク版でもそうだったね。

ベルナルドはイマイチだったんだけど、

アニタ役のアリアナ・デボーズは圧巻でしたね。

 

リタ・モレノが出ているのはうれしかった。

とても91歳には見えない。

美しすぎます。

ジョージ・チャキリスがもし出てたら涙でスクリーンがかすんでいたかもしれない。

彼は今年で89歳だ。

 

オリジナルは50年以上たった今でも名作として語り継がれているが、

リメイク版はどうか。

個人的な感想ですが、

私は「否」だ。

 

オリジナルには思い入れという最大の加点材料があることを差し引いても、

名作にはなり得なかったと思う。

スピルバーグ監督も思い入れが強すぎたがゆえに、

詰め込み過ぎた。

 

リメイクは難しいね。