庵野秀明監督はのことは多少知っている。
人気の『エヴァンゲリオン』も最初のテレビシリーズは通して観た。
劇場版はどこまで観たかよく覚えていない。
というか、単一脳細胞の私は混乱してしまってよくわからないのです。
とても観念的な物語だなという感想です。
(熱狂的エヴァファンの方、こんな浅い感想しか言えなくてスミマセン)
ただ、何故か不思議な魅力を持っているのは感じました。
研ぎ澄まされた感性のナイフで心の襞を剝かれていく感じとでも言いましょうか。
その庵野監督が初めて実写映画に挑んだのが本作です。
女子高校生が12万円の指輪を手に入れるために援助交際をするというお話で、
作品中、主人公の女の子は自問自答し続けます。
その苦悩と葛藤を、
手持ちのデジタルカメラでいろんな角度から接写し表現します。
主人公が見る街の風景は、
魚眼レンズで捉えた存在の希薄な街。
スカッとした青空はどこにもない。
とてもいい映像効果を上げていると思うのですが、
三半規管の弱い私は画面酔いしてしまうほど鋭角的なのです。
ストーリーだけを拾うと単純で、
物語は結局、
自分を大切に思っている人がいるのだから、
自分をもっと大事にしなさいといった教訓めいた終わり方をするのですが、
最後にとてもいいエンディングが待っていた。
とても映画的で力強くて素敵で感動的なエンディング。
このシーンだけでそれまでの不満は吹っ飛んでしまった。
本当にいいです。
同じような題材をテーマにした作品では、
『バウンズ ko GALS』(1997)のほうがうまくできていたと思いますが、
このラストシーンのおかげで、
印象度という点ではこちらのほうが大きくなった。
演者は達者な方が揃ってますが、
中でも女子高校生4人組の一人の仲間由紀恵のかわいさは突き抜けていた。
今では決して観ることができないであろうビキニシーンは本当に綺麗でした。
評価するのは難しいですが、
興味深い作品です。
素晴らしいラストシーン!
「ラブ&ポップ」 庵野秀明監督
1998年 110分