処女ゲバゲバ | あの時の映画日記~黄昏映画館

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あの日、あの時、あの場所で観た映画の感想を
思い入れたっぷりに綴っていきます

処女ゲバゲバ

1969年(日) 若松孝二監督作品

 

♪星の尻尾はなぜ消えた~ウゥ~流れ星~

この挿入歌が耳から離れない、なんともシュールな若松孝二監督による(あえて言おう)コメディであります。

 

組織の下部構成員のチンピラ星が、

組織の女花子と駆け落ちをしようとして失敗。

 

二人は他のチンピラたちに拉致されて、

なぶりものにされ、

花子はパンツ一枚にされ荒野に設置された十字架に磔にされる。

 

チンピラたちはボスの命令により、

一日だけ星を『ボス』と呼ぶことになるのだが・・・

 

次第に下火となっていく学生運動。

下火になるにしたがって増えていった内ゲバ。

この作品は、

その時代を切り取っているのだろう。

 

前半の全裸の星の逃亡劇から、

後半は壮絶な復讐劇と変わる。

 

ライフルで撃ちぬかれた花子の胸からしたたり流れる血をすするシーンは、キリストの聖杯を疑似したものだろうか。

 

死んだ星と生きた星が一つの麻袋に入れられボコボコにされるシーンも何かの象徴なのでしょう(僕には浅学すぎて)。

 

ゲバゲバといえば、

僕らの世代だとゲバゲバ90分を連想してしまうのですが、

本作品のタイトルの発案者は大島渚なのだそうです。

 

この作品の不条理なシュールさと乾いたタッチは、

後の『エル・トポ』(1970)を連想させる。

 

ピンク映画と言って侮るなかれ、

この物語の深層にはぐっと哲学的なテーマがあります。

 

僕は気に入りました。

脚本は大和屋竺。

挿入歌を貼っておきます・・・