『ルードウィヒ/神々の黄昏』 原題:Ludwig
1972年(伊=仏=西独) ルキノ・ヴィスコンティ監督作品
この作品も強烈に印象に残っています。
ちょうど38年前の今日、
1981年2月11日に鑑賞しています。
僅か18歳で父の後を継いでバイエルン国王となったルードウィヒ。
あまりにも純真で繊細なために、
従姉のエリザベートに恋心を抱きながらもかなわず、
絶対的な美を追い求めるために、
国民の猛反対をうけながらも作曲家のワーグナーに国費をつぎ込み援助した挙句裏切られたり、
遂には発狂を原因として城に幽閉され謎の死を遂げてしまう。
そこに映し出されているのは、
ルードウィヒの生誕の地ニュンフェンブルク城をはじめ、
実際にルードウィヒの遺したノイシュバンシュタイン城、リンダーホーフ城、ヘレンキムゼー城、
彼の遺体が発見されたシュタインベルク湖など。
CG隆盛の今の時代では味わうことのできない本物の魅力。
それらが壮大なスケールと圧倒的な説得力を持たせてくれています。
18歳の即位から70歳の謎の死を遂げるまでの主人公を、
これまた圧倒的な演技力でヘルムート・バーガーが熱演。
病的に物事に執着する繊細な心情を演じぬいております。
そして、
永遠の美の象徴として描かれる従姉のエリザベートには、
ロミー・シュナイダー。
その美しさにはルードウィヒでなくても心を奪われます。
男色志向もヴィスコンティらしく、
それは『ベニスに死す』(’71)よりもストレートで、
『地獄に堕ちた勇者ども』(’69)よりも切なく描かれているようです。
『私は謎なのだ、
永遠に謎でありたい、
他人にも、私自身にも・・・』
ルードウィヒの願いでした。
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