『フェデリコという不思議な存在』 原題:CHE STRANO CHIAMARSI FEDERICO
2013年(伊) エットレ・スコーラ監督作品
映像の魔術師フェデリコ・フェリーニをこよなく愛する僕としては、
たまらなくうれしいセミ・ドキュメンタル作品です。
フェリーニが、
19歳で出版社に入社して漫画やコラムを書き始め、
やがてその才能は映画の脚本や監督に注がれていく様子を描いています。
秘蔵映像も満載で、
『カサノバ』のオーディション風景や、
俳優としてのフェリーニ、
オスカー受賞時のインタビュー映像などが出てきます。
ラストは(ネタバレ御免)、
自らの葬式のシーンを再現して、
その葬儀場から逃亡しメリーゴーランドに乗り込み、
過去のフェリーニ作品の名場面が次々と出てきます。
ここからが本当のクライマックスで、
『道』、『81/2』『甘い生活』『カサノバ』『フェリーニのローマ』『アマルコルド』『ジンジャーとフレッド』『カビリアの夜』『オーケストラ・リハーサル』『そして船は行く』『女の都』『魂のジュリエッタ』『サテリコン』『青春群像』などなどの名場面が、『人生は祭りだ』の音楽で蘇ってくるので、
観ているこちらは涙が出そうになります。
未見なので推測になるのですが、
『白い酋長』や『崖』などの初期作品も含まれていたはず。
フェリーニ監督がこだわったチネチッタスタジオへの愛、
それも十分伝わってきます。
この作品を観ていると、
やっぱりフェリーニ監督は唯一無二の存在だったのだなあと思い知らされます。
改めてフェリーニ作品を見直したい、
そう思わせてくれる貴重な作品です。