疑惑 | あの時の映画日記~黄昏映画館

あの時の映画日記~黄昏映画館

あの日、あの時、あの場所で観た映画の感想を
思い入れたっぷりに綴っていきます

『疑惑』

1982年(日) 野村芳太郎監督作品

 

原作は松本清張の小説。

 

富山県で車が埠頭から海に転落する事故が発生。

車には夫婦二人が乗っていたが、

助かったのは妻球磨子(桃井かおり)だけだった。

 

地元新聞社の記者、秋谷(柄本明)が、

夫に3億円の保険金が掛けられていたことを掻き立てたため、

球磨子は北陸一の毒婦と世間から非難されることになる。

 

物証証拠が少なかったため逮捕に消極的だった警察だったが、

結局、球磨子は殺人事件の容疑者として逮捕される。

 

事件が事件なだけに、

球磨子の弁護人は次々と辞めていき、

結局国選弁護人で民事事件が専門の、

佐原律子(岩下志麻)が事件を担当することになった。

 

裁判は球磨子に不利な証言が続き、

世間も球磨子が犯人だと決めつける雰囲気が高まる中・・・

 

桃井かおりが稀代の悪女を演じます。

前科4犯で、

チンピラともつるみ、

財産目当てで男と結婚するような女です。

 

世間を斜に見た態度、

法廷での悪態、

暴行事件を起こしても悪びれないところなど、

本当にイヤな女に見えます。

いくら犯行を否定しても彼女が犯人に違いないと思えてきます。

 

そして、

そんな球磨子を弁護する佐原律子。

原作ではこの役は男性だったのですが、

映画版はこれで大正解。

凛とした態度で、

世間からのバッシングやマスコミの憶測にも動じず、

淡々と弁護を続けます。

 

白いスーツを着て球磨子に面会に行ったときに、

球磨子から赤ワインを浴びせられるシーンがあるのですが、

そこでも表情一つ変えずに席を立つ。

いいシーンです。

とても綺麗です。

 

裁判では、

世間の風評で、

証人による証言は脚色されてしまう、

そんな恐怖を感じる作品でもありました。

 

2大女優の演技の激突という言葉がピッタリの法廷サスペンスです。

おススメです。

 

 

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