仁義なき戦い 広島死闘篇 | あの時の映画日記~黄昏映画館

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『仁義なき戦い 広島死闘篇』

1973年(日) 深作欣二監督作品

 

あけましておめでとうございます。
三が日は『仁義なき戦い』シリーズとテレビドラマ『東京ラブストーリー』の一気鑑賞してました。

 

『東京~』では鈴木保奈美の演じるリカが余りにも可哀そうで、何回も見ているはずなのに号泣してしまいました。

 

『仁義なき戦い』シリーズも何度もみているのですが、こちらもダメなリーダーに憤懣しつつ血を流す若者たちの群集劇に見入ってしまい感涙。やっぱり面白いですね。

 

と、いうわけで、

今日はシリーズ2作目の『広島死闘篇』です。

 

『仁義なき戦い』(1973)レビュー

 

2作目ということですが、

物語の流れからすると、

3作目の『代理戦争』が続編らしいストーリーになっており、

本編はスピンオフ的な作品といえると思います。

 

全編を通しての主演といえる広能(菅原文太)は、

本作では目立った活躍もなく、

どちらかといえば狂言回し的な役回りといえます。

 

そして文太さんに変わって抜群の存在感を示すのが、

昔気質の暴れん坊大友(千葉真一)と、

許されない恋に悩む極道山中(北大路欣也)の二人の映画だといえます。

 

特に大友が発するセリフが過激すぎて、

演ずる千葉真一のイメージが一新されるほどの演技が凄い作品です。

『オメコの汁でメシ食うとるんで』のセリフに、

千葉真一の役者魂を感じます。

 

男の映画というイメージが強いこのシリーズですが、

本作のヒロイン靖子を演じる梶芽衣子もさすがの貫禄。

シリーズ中一番のヒロインではないでしょうか。

 

この靖子と許されない恋に落ちる山中との恋模様には、

被差別部落の問題も織り込まれる予定だったという。

どうして義叔父にあたる村岡組長が、

頑なに二人の交際を反対するのか、

そういう視点から見ると合点がいく。

(映画本編では具体的な描写はない)

 

ロープで縛られてモーターボートから突き落とされる役を演じる川谷拓三は、この捨て身のスタントで名を上げることになる。

工事現場のクレーンに吊るされて大友らの射撃の的になるシーンも、

隠れた名場面といえる。

 

クライマックスは、

雨の夜、

警察と山中の追跡劇となる。

この場面がザラザラした感覚で、

映像的にとても味がある画になった。

 

自決した山中を、

卑劣漢の山守組長(金子信雄)ら無責任な組長連中が、

『あいつは男の中の男じゃった』と歯の浮くような言葉で持ち上げるのを、広能と同じようにやり切れない思いで観客は同感する。

 

シリーズ中最高傑作と評する方も多い本作です。

悩んで自殺する山中(北大路欣也)と、

『わしら、うまいもん食ってマブいスケ抱くために生まれてきたんじゃないの』とヌケヌケと言い放つ大友(千葉真一)。

 

対照的な二人ですが、

どちらの人間に感情移入できるでしょうか?

僕は、

僕とは全く違う千葉真一の方に魅力を感じました。