「僕の戦争」を探して | あの時の映画日記~黄昏映画館

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あの日、あの時、あの場所で観た映画の感想を
思い入れたっぷりに綴っていきます

「僕の戦争」を探して』 原題:Vivir es fácil con los ojos cerrados(スペイン語) Living Is Easy with Eyes Closed(英語)

2013年(スペイン) ダビド・トルエバ監督作品

 

Beatlesファンでなくても十分楽しめる作品ですが、

Beatlesファンなら涙が出るほどうれしくなる作品です。

 

Beatlesがライブ活動をしなくなった1966年頃、

ジョン・レノンはリチャード・レスター監督の反戦映画、

『How I won the War(邦題:僕の戦争)』にメンバーから離れて単独で出演しました。

 

この映画のロケが、

スペインのアンダルシア地方で行われるのを知った英語教師アントニオはジョン・レノンに会いに行くために車でロケ地へと向かいます。

 

このアントニオという教師。

バリバリのBeatlesファンで、

英語の授業をBeatlesの歌詞を使って行ったりしているほど。

 

旅の途中、

望まない妊娠をした若い女の子と、

父親とそりの合わない長髪の少年を乗せてやる。

 

三人三様、

いろんなことを抱えての旅となった・・・

 

ロードムーヴィーとしてもとてもよくできており、

峠を越えることができなくなった車を3人で押して登ったりする場面がほのぼのとしていい感じ。

 

途中のドライブ・インで、

ウェイターのアルバイトをすることになった少年が、

排他的な地元の人間たちによって髪を無理やり切られる場面があったりする。

 

妊娠を隠していた少女に、

さりげない優しさで気遣うアントニオの優しさ。

 

苦心惨憺して、

ジョン・レノンにあうことができたアントニオは、

決して恵まれている環境とは言えない自らの学校の生徒たちのことをジョンに語り、ジョンが学校に訪問するという約束まで取り付ける。

 

お土産にカセットテープとレコーダーをもらうアントニオ。

 

別れることになった少年少女に、

そのカセットレコーダーを、

『思い出に・・・』といって渡す。

 

車で帰路につく少年がレコーダーを再生してみると、

まだ発表前のBeatlesの新曲、

『ストロベリー・フィールズ・フォエバー』のジョンの生歌だった。

 

♪Living Is Easy with Eyes Closed~って流れてきたときには、

もう鳥肌がたちましたよ。

 

少年の髪を無理やり切った男を、

アントニオがやっつけるシーンも心地よく、

そしてラストはロードムーヴィーらしい余韻を残す、

とってもとってもいい作品でした。

 

 

昭和音楽祭