下宿人 | あの時の映画日記~黄昏映画館

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あの日、あの時、あの場所で観た映画の感想を
思い入れたっぷりに綴っていきます

下宿人』 原題:The Lodger: A Story of the London Fog

1927年(英) アルフレッド・ヒッチコック作品

 

原題からもわかるように、

1880年代にイギリスで起こった、

『切り裂きジャック事件』をモチーフにしたと思われる、

ヒッチコックのサスペンスです。

 

ロンドンの夜。

若くて金髪の巻き毛の女性が次々と惨殺される事件が起こる。

 

目撃証言によると、

犯人は背が高く、

マフラーで口元を覆っているとのこと。

新聞を通じて事件は大々的に報道され、

ロンドンの街に恐怖が走る。

 

そんなロンドンの街で下宿を営む老夫婦。

二人には若くて美しい金髪の娘デイジーがいた。

 

その下宿に、

目撃証言とそっくりな不気味な男が、

部屋を借りに来た。

 

あろうことかデイジーは、

この怪しげな男と恋に落ちてしまう。

 

そして、

また新たな殺人が・・・

 

と、いうわけで、

サイレントですが、

やっぱりうまいなあと唸ってしまう。

 

観ている僕たちは、

この怪しい男の様子を知っているから用心するが、

登場人物たちはそんな妖しい行動を知らないので心許してしまう。

 

この男、

壁にかかっている金髪の女性の肖像画を全部外せと命令したり、

イライラしたように部屋の中を行ったり来たりする。

 

このシーン、

ヒッチコックは男を透明ガラスの上を歩かせて、

それを天井の証明が揺れる場面と合成して撮影したそうですが、

見事なシーンです。

 

ただでさえ怪しい男だから、

この男が食事の時にバターナイフを握るだけでサスペンスが盛り上がる。

もちろん登場人物は普段通り。

 

男がこっそりと夜に外出する場面での、

回り階段の俯瞰撮影も見事です。

階段の手すりと手。

どのカットも計算しきっている。

 

男は手錠をかけられたまま逃亡するが、

それを見つけた市民たちが男に襲い掛かる。

男は手錠が柵の上に引っ掛かり宙づりに。

ここに市民の暴力が襲い掛かるのだ。

 

結末は決して言えませんが、

極上のサスペンスを堪能しました。

 

 

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懐かしい曲がいっぱい!

昭和音楽祭