霧の旗(1965年版) | あの時の映画日記~黄昏映画館

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あの日、あの時、あの場所で観た映画の感想を
思い入れたっぷりに綴っていきます

『霧の旗』
1965年(日) 山田洋次監督作品
 
いつかの記事で書いたことですが、
僕はあまりいい山田監督の観客じゃない。
予定調和すぎるストーリー展開にまったく興味を持てないからです。
 
しかし、『馬鹿シリーズ』に続いて発表した本作は違う。
いい意味で最後まで観る者を裏切ってくれる。
橋本忍の脚本が優れていることもあるだろうが。
 
有名な弁護士大塚を頼って、
熊本から上京してくる桐子(倍賞千恵子)。
死刑判決を受けた兄の控訴弁護を依頼しにやってきたのだ。
 
しかし、
大塚は、
自分を雇うには相当な費用がかかるという理由で、
郁子もなく弁護の依頼を断る。
 
その後、
獄中で兄は死亡。
 
1年後、
別の殺人事件が発生し、
東京に出てきていた桐子は、
壮絶な方法で大塚への復讐を始める・・・
 
物語が始まって四分の三くらいまでは、
犯人捜しサスペンスの展開を見せます。
殺人に関係ありそうな人物の影をちらりと見せたり、
兄の殺人事件の冤罪のヒントをつかみかけたり。
 
しかし、
ラストの四分の一で、
桐子の壮絶な復讐劇へと雰囲気が一変します。
 
まだあどけなさが残るのに、
鋭い視線の倍賞千恵子が悪女に変わる様は恐ろしいと形容してもいいほど。
 
超一流の弁護士大塚が、
奈落の底に落ちていく姿は哀れです。
 
山田監督の演出は、
ともすれば人物関係が複雑に入り込みすぎてややこしくなりそうなところ、
とても簡潔でスピーディな演出に好感が持てるし、
藁をもすがる思いの大塚の気持ちをちらつく雪で表現したりと、
心理描写にもうまいところをみせる。
大変完成度の高いサスペンスに仕上がっています。
 
ご存知の通り、
本作は1977年に西河克己監督、山口百恵主演で再映画化されています。
そちらの方のレビューは次回に。
 
原作、松本清張。
 

懐かしい楽曲がいっぱい!

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