探偵物語 | あの時の映画日記~黄昏映画館

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探偵物語』 原題:Detective Story

1951年(米) ウィリアム・ワイラー監督作品

 

松田優作主演のドラマでも、

'81年の薬師丸ひろ子主演の映画でもない。

 

'51年に作られたウィリアム・ワイラー監督の、

刑事ドラマの傑作です。

 

ニューヨーク西第21分署。

ここには実にたくさんの人間の出入りがある。

 

まず、

万引きを働いて捕まってしまった女から、

強盗犯、使い込みの若者、その男を助けようとする恋人、

堕胎医、弁護士などなど。

 

冒頭に捕まった万引き女が、

弁護士の義理の弟を夜まで待つ間に、

これらの人間模様を覗き見ている。

 

この署に勤める刑事カーク・ダグラスは熱血漢で頑固者。

捕まった容疑者には寸分の情もかけることはない。

 

そんな彼が、

容疑者の堕胎医を連行中激高し、

堕胎医を殴りけがをさせてしまう。

 

このことから物語は暗転し・・・

 

前半はコミカルともとれるような、

軽快なドラマ運び。

署内の人間関係もユーモラスに描かれる。

 

カーク・ダグラスも、

妻と仲睦まじく、

夜のデートの約束まで取り付けている。

 

それが後半は一転して悲劇的な展開に。

ワイラー監督史上、

もっとも悲劇的でやるせない物語ではないか。

 

狭い署内の様子を俯瞰で切り取るカメラが見事だし、

小道具の使い方や、

コミカルながら絶妙に張られた前半の伏線などまさに名人芸。

 

原題は直訳すると“刑事物語”なのだが、

邦題ではなぜか“探偵物語”になってしまった。

 

舞台劇の映画化ということでは、

シドニー・ルメットの“12人の怒れる男”と双肩。

 

 

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