『めまい』原題：Vertigo
1958年（米） アルフレッド・ヒッチコック監督作品
今回は久々にヒッチコック作品を取り上げてみようと思います。
僕が思うに、ヒッチコック作品の中でも一番後味の悪い作品じゃないかと思います。
もちろん、いい意味ですけどね。
オープニングのヒロインキム・ノヴァクの眼のアップから、
目の玉グルグルに至るところから、
早くもヒッチコックタッチに浸ることができます。
犯人追跡中に同僚を墜落死させてしまった自責の念から、
高所恐怖症になってしまった刑事スコティ。
まず、最初にここが見せ場なんですよね。
彼は刑事を辞めることにする。
そこに現れたのが彼の旧友であるエルスター。
エルスターは最近妻マデリンの様子がおかしいので調査してくれと依頼を受ける。
調べていくうちに、
マデリンにはある過去の女の霊が憑りついているということを知る。
マデリンは昼間の自分の行動を覚えておらず、
問いかけるスコティの目の前で、
サンフランシスコ湾に飛び込み自殺しようとする。
スコティも海に飛び込み、
彼女を助けるのだが、
スコティは次第に彼女に惹かれていき・・・
ストーリーを追うのはここまで。
推理小説的にいうと、
この物語の展開は少しルール違反があるのですが、
心理劇としてみれば、
たいへん面白い。
スコティは人格崩壊を起こしてしまうのですが、
そのシーンでの色の洪水がものすごい。
原色のペンキを壁にぶつけているよう。
そして有名な、
“めまい”ショット。
スコティが高いところから下を見た時の心理の不安定さが、
バーナード・ハーマンの音楽も相まって、
劇的な効果をみせる。
金門橋が美しい。
坂の多いサンフランシスコの街を、
迷路のように車で走る場面も名場面だ。
レストランの場面や、
美術館の場面。
古い教会の場面など名場面は数えきれない。
スコティ演じるジェームス・スチュアートももとろん好演だが、
ヒロイン、キム・ノヴァクがとても印象的。
（ヒッチコックは彼女を使うのは反対だったそうであるが）
とにかくクセになるこの作品。
何度観ても新しい発見があります。
予告編
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