青春残酷物語 | あの時の映画日記~黄昏映画館

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あの日、あの時、あの場所で観た映画の感想を
思い入れたっぷりに綴っていきます


青春残酷物語
1960年(日)大島渚監督作品

この作品が作られた1960年は、
4年後の東京オリンピック開催に向けて、
まさに経済発展しているときであり、
また安保闘争で国と学生が激しく対立している時代でありました。

2015年現在の日本と非常に酷似していると思われませんか。

この作品の主人公、
川津祐介と桑野みゆきはいつも傷つけあっている。
若い時の恋愛は、
常に傷つけあってばかりいたなあと自己投影できる姿がそこにある。

材木場で無理矢理桑野を犯す川津。
ギラギラ輝く太陽のもと、
それは学生闘争などにのめりこめない二人の衝撃的な体験だった。

若者の怒り・・・
その時代それは社会に向いていた。
が、それにのめりこめない者もいたが怒りはあった。

その怒りを発散すると、
それは犯罪として摘発された。

物語の二人は、
美人局をしている。
それで社会に反抗しているつもりだったが、
社会の壁は二人の想像以上に厚く高かった。

無軌道な恋愛と肉体関係は、
妊娠を生む。
そして堕胎、
それは殺人で、
二人は大きな罪を背負わなければならない。

社会をあざ笑っていた男は、
リンゴをかじりながらそこで初めて涙を見せる。

身内には、
社会と戦って敗れたものもいる。
まさに牙を抜かれた獣だ。
そんな大人が人生を説いている。
哀れで滑稽だ。

世論、大衆という波に飲み込まれ、
主人公二人は息絶える。

まさに時代が生んだ映画。
この作品の問いかけに、
現代の映画人は答えをいまだ出していない。

予告編


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