『ラブ&ピース』
2015年(日) 園子温監督作品
園子温監督ずるいわ~。
あの場面でRCサクセションの「スロー・バラード」なんて。
あの瞬間に涙が出てきてしまったじゃないですか。
さえない若者良一が、
一匹のミドリガメに出会い、
劇的に変わっていく物語。
クライマックスは怪獣まで出てくるので、
未見の方はトンデモ映画と思われるかもしれませんが、
これは大人のための寓話ですね。
もちろん、
本作は、
従来の園作品と違って、
子供の鑑賞にも耐えうる作品となっていますが、
大人にならないと本当にはわからないでしょう。
使い捨て文明社会への批判もあります。
使い捨てられたおもちゃ、
捨てられたペット、
この哀しさは子供でもわかるだろう。
冴えないサラリーマンからスーパースターに変貌する長谷川博己は、
「地獄でなぜ悪い」に続き好演だが、
謎の老人西田敏行の正体がわかるところが泣かせる。
CGを極力使わず、
着ぐるみや人形アニメで特撮を仕上げたのも園監督らしいノスタルジィ
東京の街を壊しまくるが、
誰一人死傷者がいない。
捨てられたおもちゃの声を演じる、
声優さんもすごい。
特に巨大化したピカドンの声は忘れられない。
(ポケットモンスターのピカチュウの声の人らしい)
非現実的なのに、
その心情にはリアリティがある。
「愛のむきだし」以来の純愛ストーリーだと、
園子温監督は言っている、
僕もそれを支持しようと思う。
とてもいいお話でした。
スローバラード RCサクセション