甘い生活

『甘い生活』　原題：La dolce vita

１９６０年度（伊）フェデリコ・フェリーニ監督作品。

先日の「鉄道員」に続きまして、イタリア映画が続きます。

大好きなフェリーニ作品です。

この作品で、彼はストーリーの呪縛から解かれました。

豊潤なイメージの連続から語られていく物語は、

方や難解だという批評もあるようですが、

なかなかどうして、理屈っぽく観ずについていけば面白いです。

作家志望ながら、機会に恵まれずゴシップ記事の記者となっているマルチェロ。

何故か彼は女にモテる。

ローマの上流階級の女性から、ハリウッド女優まで片っ端という感じである。

家には、同棲している（この女性も美女）エンマという女性がいるというのに。

マルチェロは夜な夜な高級クラブや野外で乱痴気騒ぎ。

それは上流階級の退廃した生活そのものだった。

そんな中にも、常識をわきまえた紳士がいた。

マルチェロにとって彼は最後といってもいいモラルのある人間だった。

そんな彼が子供二人を連れて無理心中する。

それを知ったマルチェロは、ますます退廃した生活に溺れていき・・・

開巻のヘリコプターで巨大なイエス像が運ばれていくところから、

フェリーニテイスト満開！

ハリウッド女優とローマの名所を周り、

トレビの泉で戯れるシーンは映像の魔術師の面目躍如。

土砂降りの雨の中、マリア降臨を待つ民衆。

マルチェロには届かない天使の囁き。

ラストの腐敗した巨大な魚の無常な目のアップは、

見事にこの作品のテーマを完結させてくれます。

まさに映画芸術。

起承転結のはっきりした作品にに慣れている方には、

少々格闘が必要かもしれない。

でも、こういう映像表現も、映画の一つだと思うのです。

長尺ですが、あまり肩に力を入れずにどうぞ。

万人受けしないかもしれませんが、オススメです。

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あの時の映画日記～黄昏映画館