1974年度(伊・仏合作)、ルキノ・ヴィスコンティ監督作品。
自身に対するレクイエムとも取れる作品。
『家族の肖像』
ローマ市の中心地に住む教授は、<家族の肖像>と呼ばれる18世紀の英国の画家達が描いた上流階級の団欒図のコレクションに囲まれて、孤独だが静かで平穏な生活を送っていた。
そんな教授の家にある冬の日不思議な家族の一群が荒々しく侵入してくる。
ビアンカ夫人、その若い愛人コンラッド、ビアンカの娘リエッタ、その婚約者ステファノの4人である。
静かな生活を送ってきた教授の生活はこの日を境に一変してしまう。
最初の衝突は、コンラッドが勝手に自分達の住む2階の改装工事を行い、1階の教授の部屋を水浸しにしてしまう。
怒る教授だったが、冷静に話をしてみると、コンラッドはモーツァルトを愛し、美術の造詣も深く<家族の肖像>の知識もある純粋な若者であった。
その後も、古風なヨーロッパ的な考えを持つ教授とコンラッドら4人は衝突する。
そんなある日、コンラッドは右翼の青年に急襲を受けて傷を負ってしまう。
教授は隠し部屋にコンラッドを匿い介抱してやる。
警察も、医者も呼ぶなというコンラッド。
彼は、右翼実業家のブルモンティに身元が分かってしまうのを恐れていた。
父親のように励ます教授・・・
その晩若者3人が麻薬の煙が立ち込める中カンツォーネい合わせて踊っている。
リエッタは教授に向かって、詩人オーデンの言葉で
「美しきものは追い求めよ、少女であれ少年であれ抱擁せよ・・・性の生命は墓に求め得ぬゆえ」と語りかける。
コンラッドはミュンヘンに出発したが、国境で不審尋問にあい、身元引受人のなに教授の名前を挙げた。
彼は、すぐに釈放され、帰還したコンラッドを迎えてその晩5人であたかも<家族の肖像>のような初めての、そして最後の晩餐会を開く。
ここで、めいめい最も残酷な真実をあらわに突きつけあい家族の団欒はそのまま悲劇に突入していくのであった・・・
ヴィスコンティ監督は、以前UPした「ルードウィヒ・神々の黄昏」を撮影中に、心臓発作で倒れました。
それでも彼はその作品を撮り終えましたが、そのときすでに、自分の死を身近に感じていたんだろうと思われました。
そういう心境の中で作られたのが「家族の肖像」だったのでしょう。
ラストで、2階から誰かとも分からない足音が教授に聞こえてきます。
それは、教授の死へのカウントダウンなんでしょうか・・・
がちゃん
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