八月の濡れた砂 | あの時の映画日記~黄昏映画館

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あの日、あの時、あの場所で観た映画の感想を
思い入れたっぷりに綴っていきます


あの時の映画日記


珍しく、朝からブログを書いております。

なんだかけだるい朝です。

久しぶりにこの作品を観たからかなあ・・・


1971年度(日)

藤田敏八監督作品

『八月の濡れた砂』


’70年代夏の湘南海岸、早朝。

暴行されたであろう少女早苗が、不良グループの車から放り出される。

少女は裸になり海に飛び込み身体を洗う。


バイクで通りがかりその光景を目撃する少年清。

服を貸してやろうと家に戻り義姉の服を盗み、少年は海岸に戻ってみるが、

そこに少女の姿はなかった。


こんなオープニングの後、物語は少年の友人で学校を中退した野上と、

早苗、早苗の姉真紀を中心に、若者たちの無軌道な行動が描かれる。


野上の些細で悪戯な言葉で悲劇的な結末を迎える優等生カップル。

母の交際相手の男が雇ったヤクザに襲われる野上。

早苗を襲った不良たちを見つけ、散々に痛めつける野上たち。

そして、

母の交際相手の男から奪ったヨットに乗り込む野上、清、早苗、真紀。


真っ白なヨットにベッタリと塗られる血を連想させる赤いペンキが印象的。

真夏のアスファルトの上に立ちこもるような蜃気楼のような作品。

思いつきの暴力と欲望で物語は進んでいくが、

「時計じかけのオレンジ」のような、メッセージ性は全くない。


石川セリが歌うこの作品のテーマ曲のように、

ぼんやりとした、しかし時代風俗を見事に切り取った作品だと思います。


村野武範、剛たつひと等が後年作られるテレビドラマ「飛び出せ青春」とは正反対の演技を見せる中、

早苗を演じるテレサ野田が魅力的。


藤田監督らしい、虚無的な映画です。

時代風俗も描かれていて興味深い一編であると言えると思います。


尚、制作会社「日活」はこの作品を最後に、

ロマンポルノに路線変更することになるのでした・・・


がちゃん419


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