本年もどうぞよろしくお願いします。
さて、2010年も本格的に稼動しだした感じですね。
私の、2010年冒頭にレビューさせていただく映画は、
巨匠、黒澤 明監督作品。
世界に誇る超大作。
1954年度(日)作品『七人の侍』です。
語りだすときりのない名作で、私ごときがレビューするのも憚られるんですが、年の初めということで取り上げさせていただきます。
「徹底した娯楽作を撮る」という、黒澤監督の明確な意思の元に作られたこの作品。
一切の妥協を排して、光のコントラストに凝り、川の水をくみ上げて豪雨の合戦シーンをマルチカメラを駆使してダイナミックに演出し、農民達を含めて七人の侍それぞれの個性を描ききった奇跡のような作品です。
物語は、ある貧しい村。
農民達は毎年秋の農作物の収穫期になると村を襲い、食料などを奪っていく野武士達に困り果てていた。
悩んだ末、村の長老は侍を雇って村を守るように指示をする。
侍をスカウトするために町へ出てきた農民2人。
次々と申し出を断られる彼らが偶然目撃したのが、子供をかくまって小屋の中に立ちこもっている悪党を、勘兵衛という初老の侍が見事な腕で子供を救い出す場面。
2人の農民は勘兵衛に村を救ってもらうように頼み込む。
しぶしぶ承知した勘兵衛は、共に戦ってくれる侍七人を選び出す。
傭兵として雇われる侍達の報酬は、白い米を腹いっぱい食べさせてもらう事。
貧しい村が出せる報酬はそれが精一杯なのだ。
攻め入ってくる野武士達の数は多数。
対して、雇われた侍は七人。
![あの時の映画日記](https://stat.ameba.jp/user_images/20100105/15/hal-9000hn/57/b8/j/t02200166_0560042210365379312.jpg?caw=800)
侍達は、戦いのやり方を戦とは縁のない農民達に教え、共同で村を守る事にする。
七人の侍を集めていくエピソードが面白い。
この場面で、それぞれの侍の個性が見事に描かれていきます。
特に際立つのは、農民だか侍なのか分からない菊千代を演じる三船敏郎。
その奇異なキャラクターをダイナミックに演じきって見事。
智将、勘兵衛を演じた志村喬も素晴らしい。
そして、ストイックな剣豪、久蔵を演じた宮口精二も強烈な印象を残します。
アメリカのジョン・フォード監督の西部劇に憧れていた黒澤監督が、ダイナミックな演出に欠かせない砂埃と太陽光に対して考えた、土砂降りの雨の中での合戦シーン。
![あの時の映画日記](https://stat.ameba.jp/user_images/20100105/16/hal-9000hn/d4/e4/j/t02200165_0475035610365415308.jpg?caw=800)
望遠レンズを生かした見事な撮影。
早坂文雄による勇壮な侍のテーマ音楽。
太陽が照ってるシーンでは、一番光ってるところをカメラに収めるために天気待ちまでして一番いい状態で撮っている。
当時としては破格の1年の製作期間と、1億3千万の制作費を費やし、それまで戦後のGHQによって禁止されていた侍映画を、満を持して製作したという感じです。
塚に旗がぱらぱらとたなびく寂しいシーンや、若い侍と村娘との花畑でのラブシーンも作品にアクセントをつけています。
CGもなかった時代。
こんな超大作ができたということは本当に奇跡だと思います。
古いからとか白黒だからといって敬遠してる方がいらしたら、それは大きな損失になりますよ。
幸い、現在流通しているDVDなどは、ニュープリント版で、音声もより聞きやすくなっているとの事。
是非、御覧下さい!!
がちゃん
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