時計じかけのオレンジ | あの時の映画日記~黄昏映画館

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あの日、あの時、あの場所で観た映画の感想を
思い入れたっぷりに綴っていきます


あの時の映画日記-時計じかけのオレンジ1
悪夢のような近未来を描いたスタンリーキューブリック監督の問題作。

1971年度作品『時計じかけのオレンジ』


マルコム・マクドウェル扮する、片目だけにつけまつげを付け性器を強調したコスチュームに身を包んだ主人公「アレックス」ら4人の不良少年たちが、ミルクバー(中には興奮剤が入っている)でたむろし、夜毎ホームレスの老人を襲ったり、別の不良グループと抗争を繰り返したり、車を暴走させてスリルを楽しんだり、他人の家に押し入ってそこの婦人をレイプしたりやりたい放題のことをする。


アレックスは家に帰ると机の中からペットのニシキヘビをなでながらヴェートーベンを聞き、暴力的な夢に興奮を覚えながら眠りにつく。


当然警察(補導員?)もアレックスには目をつけているが、アレックスは要領よく振舞っている。


グループの中でのリーダーである彼に対して他のメンバーらは100%の信頼を寄せているわけではない。


ある晩、いつものように他人の家に押し入って婦人を暴行しようとしたアレックスは、誤って婦人を殺してしまう。

そして、逃走しようとした時に仲間の裏切りにあいアレックスは逮捕されてしまう。


いわば、ここまでが物語の前半で、異様な美術セットや過激な暴力描写それにウォルターカーロス(後に性転換して、ウェンディ・カーロスに改名)の音楽が、映画的興奮を盛り上げます。


ここからが物語の後半となり、拘置所に入れられたアレックスは、政府が研究している人格矯正療法の被験者になることにする。この療法はいわば人間を完全無害化にさせる療法で、特殊な薬を投与されながら強制的に暴力的な映像を見せられ続ける。ついには、吐き気をもよおすアレックスだが映像は中止されない。それどころか、BGMに彼が愛してやまないベートーベンがかぶさってくる。


あの時の映画日記-時計じかけのオレンジ2


これによって、アレックスは暴力的感情が生まれると吐き気をもよおし、相手に対してまったく反抗できない人間になってしまう。


治療を終えたアレックスは完全な”無害人間”となって社会に復帰する。


しかし、もうアレックスには帰る家がなく、昔の不良仲間らは警官になっていてアレックスに対して暴力の限りをつくす。

傷ついたアレックスが助けを求めに訪ねた家は、かつて彼が暴行した家族の家でその家の主人は反体制の思想を持つ活動家だった。


アレックスの正体に気づいた彼は、アレックスを使い復讐をかねて反政府の宣伝材料にしようと考える。

アレックスは密室に閉じ込められ大音量でベートーベンを聞かされる。


たまらなくなったアレックスは自殺しようと階上から飛び降りようとするが・・・


管理社会への皮肉をスタイリッシュで魅力的な映像で見せてくれるキューブリック監督に拍手!