個人の尊厳~プライベート・ライアン | あの時の映画日記~黄昏映画館

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あの日、あの時、あの場所で観た映画の感想を
思い入れたっぷりに綴っていきます


がちゃんのブログ
1998年度作品

スティーブン・スピルバーグ監督の2時間50分の大作です。

『プライベート・ライアン』

オープニング、アメリカの星条旗が逆光にて撮影され、赤と青のストライプが、

白と黒に見える。

この、不安なショットがこの映画の不条理さを暗示します。


1944年のノルマンディ上陸作戦。

第2次世界大戦のなかでも、史上最大の侵攻作戦。


かつて、「史上最大の作戦」などの映画で描かれていた場面とは全然違う、

凄惨な戦闘場面が冒頭の約30分描かれます。


上陸艇から降りたとたんに、ドイツ軍からの機関銃がうちこまれ、アメリカ兵はバタバタなぎ倒されていく。

機関銃からの逃げ場はない。

海に飛び込めば、海の中にまで弾が飛んでくる。

浜辺では、内臓がむき出しになった兵士がうめき、片腕をもがれた兵士が自分の腕をぶらさげて呆然と歩いている・・・

圧倒される戦闘場面。


なんとか、上陸に成功したジョン・ミラー大尉(トム・ハンクス)。

彼に、実に不可解な任務が与えられる。


「1個分隊で戦線を突破。生死不明の落下傘兵を探して母国へ帰還させよ」


ミラー大尉ら8人は、過酷な戦場を突破したった一人の2等兵を探し出さなければならない。


「一人を救うのに8人の命を危険にさらすのは道理にあわない」


兵士それぞれが、心の中にそう思いながら作戦を遂行していく。

はたして、ライアン2等兵を救い出す事ができるのか?

8人の兵士たちはどうなってしまうのか。


戦場に出た事もなく、一応50年以上平和といわれている日本人である私には、

語りきる事は出来ない作品であろうと思います。


でも、兵士個人の尊厳なんて戦争というものを俯瞰で見た場合、

一体どんな価値があるのだろう・・・

そんな事を考え込んでしまう映画でした。


公開当時、評判になった作品ですのでたくさんの方が御覧になっていると思いますが、

自分なりの感想を綴らせてもらいました。


まだ未見の方で、興味を持っていただける方がいたらぜひ御覧下さい。

お勧めします。


がちゃん