ドールハウス(2025)
いつも軽妙な演出で観客を楽しませてくれる矢口史靖監督が、今回はホラーに取り組みました。
ツボを外さない110分に、いろんなホラーの要素を詰め込んでおります。
ある郊外の住宅地に住む鈴木一家の一人娘芽衣が、不慮の事故により自宅で亡くなってしまう。
母親の佳恵(長澤まさみ)がほんの少し目を離した時に起きた事故だっただけに、彼女は自分を責め、精神的にも病んでしまう。
そしてある日、
佳恵は骨董品屋で古い日本人形を見つけて買ってくる。
それから佳恵の病状は良くなり、次第に明るくなっていくのだが、その人形を乳母車に乗せて街へ出かけるなど、傍から見ると、その行動は少し異様に見えるものだった。
そんな鈴木家に、
二人目の娘である真衣が産まれて・・・
結構、多くの作品がある「呪われた人形」ものですが、いろんな角度からの見せ場を詰め込んであるので、退屈せずに観ることができます。
物語の主人公といってもいい「人形」が、アメリカ映画の「チャイルドプレイ」のチャッキーのように、いかにもそれらしいという感じではないのがいいですね。
また「ミーガン」のように、人間に寄せ切っていないのもいい。
髪の伸びる人形なんて、いかにも日本的ですよね。
人形を捨てても捨ててもなぜかっ戻ってくるというのは、おなじみの展開ではあるのですが、そこにも二重三重の仕掛けがあって面白い。
異常に気付いた主人公が周りにそのことを伝えても、なまなか取り合ってもらえなくて恐怖が増幅するパターンは、その周りが鈍感過ぎたらバカに見えるし鋭すぎても面白くないのですが、本作の登場人物たちは、物語の興味を壊さない程度の鈍感さなのがいい。
心理的にジワジワ恐怖を盛り上げながら、時折挟まれるジャンプスケアも効果的。
いよいよ凶暴さを発揮し始めた日本人形の形相が、なんとなく「モンスター・イン・クローゼット」の怪物に見えてしまうところなどは微笑ましい。
そして、クライマックスは、日本版「エクソシスト」の展開となるところも面白く、矢口監督らしいなと思ったね。
ラストが少しスカした感じになってしまったのが惜しいのですが、何も考えずに楽しめるという点ではさすがだなと思いました。
『ドールハウス』(2025)
矢口史靖監督 110分
2025年(令和7年)6月公開

