蘇民将来 | 真実の実は苦い

真実の実は苦い

無知蒙昧な中年男が、悪魔に食べさせられた真実の実。月の女神が示した絵のない絵本のページをめくる。

昔、牛頭天王(ごずてんのう)という角を生やした男が旅をしており、日暮れに一夜の宿を求めた。

最初に金持ちの古単将来(こたんしょうらい)の家を訪ねたが、古単牛頭天王の姿を気味悪がり、冷たくあしらった。

次に古単の兄で貧しい蘇民将来(そみんしょうらい)の家を訪ねると、蘇民は喜んで宿を貸し、粟飯を振舞って歓待した。

蘇民の親切に感謝した牛頭天王は「間もなく疫病が流行る。家の入り口に『蘇民将来之子孫家』書いた札を下げれば、子々孫々までその家を疫病から護ろうぞ」と言って立ち去った。

やがて流行った疫病で古単は死ぬが、蘇民の家族は札を掲げて厄災から逃れることができた。

このことから、疫病が流行ると、人々は家の入り口に『蘇民将来之子孫家』の札を掲げるようになつたという。

 

牛頭天王の正体はスサノヲ神だった。