石川県立 門前高等学校 | 校歌の広場

校歌の広場

高校の校歌についていろいろ書き綴っています。
高校野球でも流れたりする、校歌の世界は奥深いですよ~

今回は、石川県の門前高校です。

石川県・能登半島北部に位置する輪島市にある学校です。
門前地区は以前は鳳至郡門前町で、能登半島北西部の日本海に面する町でしたが、平成の大合併で輪島市と合併しました。
"門前町"とはある程度大きな神社や寺院の参道周辺に発達した町を言い、参拝・参詣者や信徒などが集合する流れから商工業者も集まって形成されます。
歴史上では城下町や湊町とともに重要拠点でもあり、有名なところでは善光寺の長野伊勢神宮の宇治山田比叡山の近江坂本などが挙げられるでしょう。

ここの場合は、中世の能登国櫛比庄(現在地)に開創された曹洞宗大本山・總持寺に由来します。
1321年に曹洞宗の瑩山禅師によって諸嶽観音堂から總持寺と改められ、70以上の堂宇や1万以上の末寺を有する能登の大本山・"能山"として栄えてきました。しかし、明治31年の大火によっていくつかの伽藍を除いて全焼してしまい、その復興を模索する際に宗教の意義と将来的な知見によって横浜市鶴見区の現在地に移転したのです。
現在の輪島門前にある寺院は明治38年に再建されたもので"總持寺祖院"と呼ばれ、令和3年で開創700年になるそうです。

学校は昭和23年に輪島高校定時制課程門前分校として開校し、昭和37年に独立して門前高校となりました。
同地区の市立門前中学校と連携中高一貫教育を行っています。ちなみに門前町にはかつて中学校が7校ありましたが、全て統合されて現在は門前中学校1校のみです。
校歌は作詞:諸岡昭円 作曲:安藤芳亮で制定年は不明です。
門前 (全2番)
 あなさやけ 首山のふもと 法燈の里
 ゆたけき瑞枝 ま輝く今
 理想の文化 いや創るべく 誓ひてし
 をのこわれ 乙女われ
 真理と正義 両手にかかげ
 誇りは高し われらが母校

法燈の里」は總持寺門前町として栄えた土地を歌っています。
ゆたけき瑞枝」とは、能登ヒバこと"档(アテ)"のことでしょうか。アテとは石川県の県木で、ヒノキアスナロの方言です。門前町はアテの木の"元祖"があり、周辺もアテの植林があることで取り入れたのではないかと思います。