幻想的な部屋を、音楽と一緒にゆっくり眺める。
そういうアンビエント動画を作っていると、考えることが「どんな景色にするか」だけでは済まなくなります。

その景色を、どれくらいの時間、どう続けるのか。

私が欲しいのは、二時間、同じ場所にいられるような映像です。水や光を眺めたり、少し目を離したりしても、そこに同じ空間が続いているもの。

ところが、同じ映像を繰り返す「ループ」には、案外存在感のある継ぎ目があります。

水面が急に元の形へ戻る。光が同じところから出直す。音楽がいったん終わって、また始まる。

さっきまで幻想世界にいたのに、急に「あ、今つなぎましたね」と編集の事情が見えてしまう。

裏方、今は出てこんでええねん。笑

今日は、長いアンビエント映像を考えるときに気になる、この継ぎ目の話です。

水草のある大きな水槽と、黒と金を基調にした室内

01|再生時間の足し算では片づかない

短い映像を何回も並べれば、再生時間は長くなります。計算としては簡単です。

でも、五秒ごとに同じ動きが帰ってくる二時間を想像すると、ちょっと話が変わる。

たとえば、この水槽のある室内を動画にするとしたら。

水の中の光や気泡は、眺めていたい。けれど、目立つ気泡がまったく同じ経路で上がっていくのを何度も見ていると、やがて景色よりも周期のほうを覚えてしまいそうです。

「そろそろ、あの気泡が来るな」

水槽を眺めているはずが、いつの間にか定時運行を確認する係になる。頼まれてない仕事が増えた。笑

映像が途切れず再生されることだけでなく、繰り返しの目印がどれくらい目に入るか。長く流すなら、そこも気になります。

02|一度だけなら美しい動きもある

大きな光が画面を横切る。霧が晴れて建物が現れる。カメラが奥へ進み、別の景色が見えてくる。

一回の演出としては、どれも面白いと思います。新しい場所へ入っていく感じも出せる。

ただ、その場に留まって眺めたい映像では、同じ演出が戻ってくるたびに「もう一度、入口からどうぞ」となることがあります。

もう部屋に入って座ってるんですけど。笑

以前、一枚絵に微細な光の粒子と音楽を加えた映像を制作しました。大きく動かさなくても、静止画とは違う時間を感じられる。そのくらいの変化が、私にはちょうどよい場面があります。

長尺にするなら、最初の数秒だけで判断せず、同じ動きを何度か眺めてみたい。最初はきれいだと思った光が、三回目にも同じように心地よいとは限らないからです。

動きが多いか少ないかだけでは決まらない。どこが動くのか、どれくらい目立つのか、また見たくなる動きなのか。考えることは細かいです。

雨の夜の未来都市を望む、大きな窓のある室内

03|雨は続いているのに、曲が終わる

こちらは、雨の夜景を望む室内の一枚です。

この景色に音をつけて長く流すなら、私は映像だけでなく、音が切り替わる瞬間も気になります。

窓の外では雨が降り続いているのに、音楽だけがきれいに終わってしまう。それまで眺めていた景色にも、つられて「ここで一区切り」という感じが出る。

一曲を聴く映像なら、それでよいと思います。けれど、部屋でゆっくり過ごすための映像には、その区切りが少し強く感じられることがある。

では、曲の終わりと始まりを重ねれば済むのか。

重ねたところだけ音が厚くなったり、急に別の旋律が入ってきたりすると、それもまた目印になります。無音がなければ自然、というほど単純でもなさそうです。

水や雨の映像に合う音を選ぶことと、その音が長い時間どう続くかを考えること。両方必要なんやな、と思います。

04|途中で目を離しても、同じ場所に戻りたい

私は、異なる幻想世界をつないで巡る映像も作っています。次の景色へ移っていく楽しさは、それはそれで好きです。

一方で、今日はこの部屋をずっと眺めたい、という気分もある。

窓の外を見たり、水槽に目を移したり、照明や家具の細部を眺めたりする。少し目を離して、戻ってきたら同じ景色が続いている。

そういう映像では、見る側がどこを眺めるか、いつ目を離すかを自分で決められるところが好きです。画面から次々に「ここ見て! 次はこっち!」と呼ばれなくていい。

二時間あれば、その全部を画面のために使う必要もない。読書の途中にふと見てもいいし、何もせず眺めてもいい。

だから、私が考えている長尺アンビエントでは、最初の見栄えだけでなく、途中から見たときや、しばらく眺めたあとにも、その場所にいたいと思えるかを大切にしたいです。

継ぎ目が自然なら、たぶん見ている人は継ぎ目のことなんか考えません。

それでええねん。水槽や夜景を眺めに来た人に、編集点を探してもらう必要はないので。笑

幻想的な景色を長く続けるために、時間のつなぎ方を地味に考える。なかなか表に見えにくいけれど、ここも映像を作る面白さなのだと思います。

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Text / Visual: AUREA
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