阪神・オリ同日パレードで関西厳戒…地下鉄出口を封鎖、密集避け距離延長

 

プロ野球の阪神タイガースとオリックス・バファローズの優勝パレードが23日に大阪、神戸両市で行われる。セ・パ両リーグの優勝チームの同日パレードという異例の催しで、来場者は大阪で40万人以上、神戸で30万人以上が見込まれている。警備態勢は両府県の職員や警察官など約9500人に達する。両会場を移動するファンも大勢いるとみられ、主催者は通行規制を行うなどして警戒に当たる。

 パレードのルートは、大阪は御堂筋の北浜3交差点から新橋北交差点までの約1・7キロ、神戸は中央区の東遊園地前から神戸港のメリケンパークまでの約2キロ。午前11時から大阪でオリックス、神戸で阪神がそれぞれ行い、午後2時からは両チームが入れ替わって2回目に臨む。両会場とも選手らを乗せた車両が約1時間走行する。

優勝パレードの通行規制を告知する立て看板(22日午前、神戸市中央区で)=八木良樹撮影

 今回のパレードの特徴は、両会場をはしごしたり、同一会場で2チームを見ようと居残ったりする人が予想されることだ。これが混乱につながる可能性があるとして、両府県などでつくる実行委員会は警戒している。

 大阪では、府市の職員約2500人、民間の警備員約2000人、警察官約800人の計約5300人が投入される。昨年10月の韓国ソウル・梨泰院(イテウォン)での雑踏事故を念頭に、警備員数は昨年のオリックスの優勝パレード時の2倍以上とする。

 実行委は当日午前9時から午後4時まで会場と周辺を車両通行止めにする。選手が乗った車両が移動するルートと観覧スペースをフェンスで仕切る。通行人の滞留を防ぐため、府警は、軽妙な語り口で誘導するDJポリスを出動させる。

 地下道から人が流入して、来場者でごった返した地上で雑踏事故が起きる恐れがあるため、会場付近の大阪メトロ淀屋橋、本町、心斎橋の3駅では、御堂筋に面する数か所の出入り口の封鎖や通行規制が予定されている。

 神戸では、午前6時頃から車両の移動ルートと観覧スペースを区切るフェンスの設置が始まる。阪神がリーグ優勝した2003年には、同様のルートで約1・3キロのパレードを実施し、約25万人が来場した。実行委は今回、人の密集を緩和するため、移動距離を約700メートル延ばした。兵庫県と神戸市の職員約1500人、民間警備員約1800人、警察官約850人の計4150人が対応する。

 

両会場を移動するファンや帰宅時の混雑に備え、鉄道各社も対策を取る。JR西日本は神戸駅と大阪駅を通る電車の一部で車両を増やす。阪神電車は神戸の元町、神戸三宮両駅と大阪梅田駅を直通で結ぶ臨時列車を運行する。

 沿道の飲食店では、パレードを間近で見ようとする人たちの予約が入っている。

 御堂筋沿いのホテル2階に入る日本料理店「東京竹葉亭南御堂店」(大阪市中央区)では、リーグ優勝が決まった9月以降、窓側の席から予約が入り始め、全72席が満席となった。現在も問い合わせが相次ぐという。店長(60)は「関西ダービーで盛り上がった締めくくり。パレードには絶好のロケーションなので、楽しんでほしい」と話していた。

 神戸市中央区の三宮中央通りにある洋食店「神戸牛洋食 アモナ」でも34席が満席になったという。店員(25)は阪神ファンといい、「パレードが目の前を通るので、おいしい料理を提供してお客さんたちと一緒に盛り上がりたい」と期待する。

「涙の御堂筋」と「がんばろうKOBE」
 プロ野球の優勝パレードが御堂筋で行われた最初の記録として残るのは1959年だ。南海ホークスが日本シリーズ第4戦(後楽園球場)で読売巨人軍を破って初の日本一をつかみ、大阪に凱旋(がいせん)した。5度目の挑戦で頂点に立ち、「涙の御堂筋パレード」として語り継がれている。


 関西に本拠地を置く球団では南海が64年、オリックスの前身・阪急ブレーブスが75~77年、阪神が85年に日本一に輝いたが、開催されなかった。野球の歴史に詳しい関西大の永井良和教授(社会学)は「南海と阪急は観客動員数が少なく、積極的に行われなかったのでは」とみる。阪神は警備面の関係で実現しなかったという。

 その後、オリックスはイチローさんらを擁し、阪神大震災が起きた95年に「がんばろうKOBE」を合言葉にパ・リーグを制覇。翌年も優勝し、2年続けて神戸でパレードが開催された。御堂筋では、2003年に当時の監督、星野仙一さんが指揮してセ・リーグを制した阪神が行進し、同じ日に神戸でも行われた。