苦悩する王者達 | CarLife

苦悩する王者達

WRC(世界ラリー選手権)で、スバルインプレッサを駆る「P・ソルベルグ」、F1でフェラーリを駆る「M・シューマッハ」、Moto GPでヤマハを牽引する「V・ロッシ」。

一時代を築き上げたライダー・ドライバーの成績が芳しくない。

若手の台頭、年齢的な限界・衰えなどと言われ、常勝を義務づけられた彼等が負け続けることは引退説に繋がる。現に「M・シューマッハ」は、今シーズンの成績次第で去就を決めると言われており、「V・ロッシ」の「F1移籍」が浮上した。

モータースポーツは過酷を極めるモノであり、精神的にも肉体的にも、常人では耐えきれないプレッシャーに襲われる。

Moto GPは、むき出しの体をスーツで覆い、路面スレスレまで車体を倒してコーナーを曲がって行く。冗談ではない。そんな事をして体が削れたらどうする。視点は路面から数十センチで、時速60km、体感速度はそれ以上。微妙な体の軸のズレでクラッシュしてしまう…悪夢である。
WRCは、派手にドリフトして楽しそうだが…必要以上に荒れたダートコースを、全開で駆け抜けたり、車体が飛んだり、片方が崖だったり……普通なら避けて通りたい道で争っている。コーナーで吹っ飛んで横転なんて事は、プロの技でも日常茶飯事である。たった一度の横転で半泣きに近くなった私には悪夢以外の何者でもない。
F1は語るに及ばないとは思うが、頭部むき出しで時速300kmオーバーなんて気が狂いそうだ。おまけにコーナーでのGは3Gになる事も普通だという。3Gと言えば、通常の体重の3倍にもなる力でコーナーのアウトサイドに持って行かれる。70kgなら210kg。KONISHIKIが真横から圧迫してくるのだ。気絶してしまう……おまけに背後からは爆音を引き連れてプレッシャーをかけて来る。それこそ冗談ではない。

そんな過酷なレースを40歳に近い年齢でやっている人達は、当然若い連中と同じ土俵では限界があるのだと思う。

しかし…かねてよりF1転向の噂があった「ヴァレンティーノ・ロッシ」は、来季もヤマハ残留の声明を出し、排気量上限が800ccとなったレギュレーションでニューマシン開発に協力。ヤマハ側も「彼の先導無くして、ニューマシンの開発は不可能」とまで言っている。
「ミハエル・シューマッハ」は、もはや限界・強いままで引退せよなどと言われ、「落日の皇帝」と不名誉な呼び名まで付けられたが、先日のモナコまでの成績を見ると、数字こそ明るい話題には見えないが、その内容は王者の風格十分の展開をし、「復活の皇帝」と呼ばせるまでになった。
「ペター・ソルベルグ」は、スバルインプレッサの黄金期を支えたドライバーだが、トップ争いに加わる事のないシーズンとなっているが、現役にこだわり、チームとして懸命に攻めている。

「車好き」は、プロもアマチュアも同じなんだろう。どこまで行っても「今の先が見たい」と思い、技術の向上・マシンの変更を繰り返し、自分の理想のスタイルを追い求める。年齢なんか関係ない。乗るマシンの種類なんか何でも良い。スピードが好きで、スピードに魅入られた「子供」は、自分に限界がある事を絶対に認めない。それ故に、苦悩する。その「先」を見たいだけで。

勝てないだけで「王者陥落」と言われるモータースポーツだが、尚先を望んで執拗に攻め続ける彼等は、紛れもなく「王者」であり、良い意味で誰よりも「子供」である。

ちなみに……私は三十路を越えた辺りから失速。車いじりも程々になり、レガシィGT-BLimitedに乗りながらも燃費9km/Lを実現する程エコロジックドライバーになっている。最近欲しい車は「プリウス」である。

目指せ、地球に優しいローライダー…