☆*:.。. 注!腐的妄想です .。.:*☆

 

 

 

 

 

「覚悟しといた方がいいですよ」

 

ニッコリしていた風間先生の笑顔がニヤリに変わる。

 

取り掛かったら1週間で片付く引き継ぎ資料なのに

わざわざ呼ばれて3週間の予定って…

やっぱり俺って最初から力仕事要員だったって事なのか?

 

そして気になる風間先生の笑顔…

力仕事は からっきしなんて言ってるけど

この不敵な笑顔を見ると本当なのか疑わしくなってきた。

人の良さそうな顔をして 実は相当な策士なのかも?

 

思考を巡らせて言葉を失っている俺に

 

「冗談ですよ…って言ってあげたいところですが本当です」

 

マジなのか〜

 

 

でもまぁ毎日子供達とドッジボールや野球にサッカーと

一日中走り回っているから体力には自信がある。

 

だから力仕事はいいんだけど…

 

「倉庫の屋根とか桜の枝はちょっと…」

 

と言い淀むと 不思議そうな顔をした風間先生が

 

「あれ?力仕事はダメですか?

教頭先生の見立てでは得意そうだって話しだったんですけど…

見当違いでしたか…」

 

「いや…そうじゃなくって………」

 

「そうじゃなくって?」

 

「高い…所が……ね」

 

風間先生が「え?」って顔をして俺の顔を見る。

 

その視線に きまり悪くて右の頬を掻くと

 

「もしかして!

…高所恐怖症ですか?」

 

「…まぁ……正直言って得意ではありません…」

 

風間先生が俺の顔をまじまじと見て次の瞬間 声を上げて笑うと

 

「流石の教頭先生も高所恐怖症までは見抜けなかったかぁ〜

教頭先生のガッカリした顔が目に浮かぶな…

あはは…じゃぁ9月から来る先生に期待して貰うしかないですね」

 

「申し訳ないです…

あ!体力は自信あるんで高い所じゃなければ大丈夫です!」

 

力こぶをつくる俺に 優しい笑顔に戻った風間先生が

 

「見ての通り古い学校なので直し始めたらキリがないし

若い男は僕だけですよ。

流石に一人じゃどうにもならないので のらりくらりと逃げていたんですけど

櫻井先生にばかりやって貰うわけにもいかないし…

こうなったら覚悟決めて高い所は僕がやりますよ。

一緒に頑張りますか!」

 

風間先生に「一緒に…」と言われて何だか楽しくなってきた。

元々身体を動かすことは嫌いじゃない。

 

「俺…不器用ですけどね」

 

「僕もです」

 

二人で顔を見合わせて同時にプッと吹き出すと

正午を知らせるサイレンが鳴った。