☆*:.。. 注!腐的妄想です .。.:*☆





「じゃぁまた明日来るから…」とオバちゃんに手を振って
先生に「よろしくお願いします」と頭を下げると病院を後にした。

男三人で暗い夜道をトボトボと歩く。

「とりあえず命がどうこうって病気じゃなくて良かったよ。
順調なら一ヶ月後には元気になってるって事だもんな?」

重苦しい空気を振り払う様に俺が言うと

「うん。そうだよね?
家の事と市場の仕事と…今まで忙し過ぎたんだから
ちょっとは休まないとね。
オッちゃんのメシくらい俺が作れるし」

「なぁに、手前ぇ一人の事をやってりゃいいんだ。
オッカァが居なくたって何とかならぁ」

強がりを言うオッちゃんに

「メシだけじゃないよ?
オバチャンの着替えだってその都度洗濯して
持ってってあげなきゃなんだから…
そっか…何ならオバちゃんが帰ってくるまで
俺がオッちゃん家に泊まりに行ったっていいよ。
その方が一回で済むし、夏休みだし丁度いいじゃん。
そーだよっ!…な?翔?」

「え?あ…あぁ…」


智は先日まで小学校の夏休みの宿題の準備に追われていて
やっと一息ついたところだった。

本業のイラストレーターと漁と図工の講師。
俺に巻き込まれて三足の草鞋を履く事になった智。
忙しいはずなのに家事のほとんども担ってくれている。

「メシの支度は気分転換だからさ…」

忙しさを感じさせない柔らかな笑顔。

ずっと甘えて来たから、こんな時こそ少しでも
智の力になりたいのに…

それなのに…


智は曖昧に頷く俺を気にも留めないで

「とりあえず明日何時に病院行けばいいか分かったら教えてよ」

「智も来んのか?」

「当たり前じゃん!」

「そっか…世話掛けるな」

商店街を抜けた分かれ道で
右に曲がったオッちゃんの背中が急に小さく見えた。