「はい」

ソファーを背もたれにして、床に座ってるショウくんに ペットボトルの水を差し出す。

「ん~…さんきゅ」

座った途端に半目になってるショウくんに

「誰と飲んでたの?」

別に誰と飲んでたかを知りたかった訳じゃないけど
こんなに酔っているショウくんも
突然 俺ン家にやってくるショウくんも
今まで見たことがなかった。

手にしたペットボトルの水を半分くらい一気に飲んで

「ん?色々~。松本が伊野尾達を連れてきてさぁ~ …
途中で抜けるからショウさん付き合ってやってよって言われてぇ~…
そしたら色んなのが付いてきて…」

結局 後輩やら7~8人くらいと飲んでいたらしい

「そんで?」

「ん?そんで?……美味い肉が食べたいって言うからさ~…彼奴ら若いから?
肉、肉って五月蝿えんだよ。でさ~やっぱ肉って言ったら……」

いやいや そーじゃなくてっ!

「それで!なんでここなのさ。こんな時間に。」

えっ?…って ちょっと息を飲んで…大きく見開いた目が泳いで…

しばしフリーズ。

えっ?…って…?
何ビックリしてんだよ。
いきなり夜中にやってきて…
用が有るから来たんだろうが!
それを何の用事かって聞かれてビックリするって…何⁈
逆にこっちがビックリすんじゃん!

長い沈黙の後に
記憶の欠片を探すようにポツリと

「サトシくんに…聞きたい事があったんだ…」

聞きたい事?
こんな時間にわざわざ来るほどの?
電話やメールじゃダメだったわけ?

……で?なに?

「…聞きたい事って言うか…お願い事っ……て言うか……
なんて言うか………そのぉ……………」

ショウくんの言葉に「………」が多くなってきて

そんなに言いにくい事?
言い淀んでるショウくんの次の言葉を待っていたら

なんか?

様子が…?

俯いてる顔をのぞ仕込むと

「っ!!!」

なんだよっ!寝てんのかよ!!!

俺だってもぉ寝ようとしてたトコだったのに!
ショウくんに起こされたのに!
自分だけサッサと寝るのかよ!

全く仕方ねーなぁ~…と呆れながらショウくんの鼻をつまむと

「…んご…んごごっ!」

くくくっ…思わず笑えてくる。

寝ながら たまにピクピク動くショウくんを見てるのは面白いけど
いつまでもここに寝かせておく訳にもいかず
重たい身体を引きずって寝室のベッドに連れて行く。

「ショウくん 無駄に筋肉つけてるから重たいんだよ…
ほれ!少しは自分で動けって!」

何とか寝室まで運ぶと ドサっとベッドに投げ捨てる…と

「…たっ!!!」

投げ捨てたつもりが俺まで一緒に倒れこむって?
ショウくん…いつの間に俺の服の裾を掴んでたんだよ~
寝てんのに スゲー力だな…

いつも通りソファで寝るつもりだったのに …
仕方ないからショウくんを壁際に押しやって 隙間に寝転がり
目を閉じる


五感で感じる…


ショウくんの寝息…

ショウくんの匂い……

ショウくんの温もり………

………ショウくん…



おやすみ ……