ブログのネタにYahooニュースを参考にすることがあります。今日もそれです。タイトルは『中途採用の3割が経歴詐称? 「部長職10年」ではなくアルバイトを転々…それでも簡単に解雇できない企業の防衛策』というものです。

 

信用して一旦雇用関係が結ばれると、ウソをつかれていたとしても簡単には解雇できない法的な問題があるようですが、経歴詐称をして採用されても仕事をしている中で、業務経歴に書いてあるような能力を発揮できていないことが分かれば立場が悪くなることは自明!それをどうしてやってしまうのか?Yahooニュースに載っていたケースはこんなものでした。

・勤続10年で部長職だった⇒部長経験はなく、3カ月で退職。その後アルバイト

・有名大学を卒業⇒高校中退

・外資系コンサル勤務の経験⇒アルバイトで職を転々

・特許所有⇒特許の詳細を聞くと返信なし

・現在所属している大きな団体⇒当該団体に照会すると、該当者なし

面接すれば即座に見抜けますが、それを見抜けない雇用側の評価能力にも問題があります。大手企業の人事部門なら、この程度のことは簡単に見抜けるので、引っかかるのは中小中堅企業ではないかと思います。私は2回、経歴詐称に遭遇したことがあります。一つは小売業のコンサルをしていた時、二つ目は友人からの評価依頼でした。簡単に紹介します。

 

その1(特許所有)
バブル崩壊初期でアチコチで倒産が相次ぐ中、売り上げを伸ばして注目を浴びた年商約400億の新興ディスカウント会社のコンサルをしていた時です。当時、メディアが頻回に取り上げ、独特な社員教育がTVで紹介されていましたが、この会社に小売業のプロを自称するコンサルタントが社長を訪ねてきたことがあります。社長は大いに気に入ったらしく『私に会ってくれないか』とのこと。初対面でも服装/顔つき/仕草/受け答えの的確さで、本物か否かが分かりますが、この人物はレジの機能、社員の指導法に関する特許を持っていると言いました。レジはともかく、指導法の特許?私は以前在籍していた会社では部の特許委員をしていたので、多少は特許に関する知識を持っていて、特許、実用新案などを持っていますが、指導法のようなもので特許が取れるとは知りませんでした。

その点を確認したところ取れるとのこと。では、特許証を見せてもらいますか?と聞いたところ『疑うのか』という態度になりました。この時点で大体の察しがつきましたが、社長が気に入っていて会って欲しいとのことだったこともあり、それ以上追及することはなく終わり、私はその後しばらくしてその会社のコンサルを辞めました。この人物が入ったせいかどうか分かりませんが、その会社はその後資金繰りが厳しくなり、会社を整理することになりました。新聞にも載りましたが、特許という言葉で信用させようとしても、特許証を確認されれば終わりだということに気が付かないか?と思った次第です。

 

その2(業務経歴詐称)

友人が病院業務と医療情報システムのプロと自称する人物の真贋を確認して欲しいと依頼してきたことがあります。なんでも、大きな総合病院のシステムを数多く手がけたという人物だそうです。友人は、私が病院の業務改革(BPR)、それを踏まえたシステム化プロジェクトを経験してきていることから聞いてきたものと思います。
友人から送られてきたメールには、病院業務と医療情報システム構築に関して大きな病院を担当してきたという業務経歴が書かれていましたが、即座にオカシイと直感しました。どうしてでしょう。単科病院でさえ大変なのに、多種多様な診療科のある総合病院の業務分析、システム化は簡単ではなく、それを幾つもこなすことができないと思ったからです。これは実際にやったことがある人なら誰でもわかることです。そもそも、プロと称する人には何人も遭遇しましたが、プロであったことは皆無です。プロは自称ではなく他称なはずです。友人には、直感的に怪しいと思っていること、およびやってきたと称する医療機関名、時期、コンサル内容の一覧を教えて欲しいと連絡しました。その人物は友人が私に相談していることを知らず、早速一覧表を作り、友人に送ってきました。友人から転送されて来た業務一覧を見て、予想が当たったと思いました。完全にウソで塗り固められたものでした。

門外漢は素晴らしいコンサル経歴と思ってしまうでしょうが、少し見ただけで以下のとおりたくさんの問題点が出てきます。

これでバレないと思ったのが不思議なくらいです。巧くゴマかせたとして、実務になったらどうするのか心配になるほどです。友人には、より厳しく詳細なコメントをして返送しましたが、もちろん、その人物はそれ以降、姿を見せなかったということです。実際に現場に入ってコンサル業務をしてきた人なら誰でも分かるはずですが、そのインチキコンサルタントの最大の誤算は、彼がやったとする都立東部療育センタは、私が都の検討メンバとして直接関わったことを知らなかったことでしょう。私の知る限りそんな人物はいなかった!

 

以上、経験した経歴詐称例を紹介しました。詐称とは詐欺ですが、こんなことをして採用されても毎日冷や冷やするだけです。

 

※質問はosugisama@gmail.comにどうぞ!
※本ブログの内容を全部、あるいは一部を無断で転載、流用することを禁じます。