先日書いた、素人とみたベンダ提案!これを打ち破った例へのアクセスが多く、関心が高いことが分かったので、今日はその第二弾です。

 

客が情報システムに関する知識経験が少ないとみた業者の中には、彼我の差を利用し、敢えて専門用語を交えた説明をする者もいて、質問することもままならない雰囲気になることもあります。業者の思うつぼです。私の場合は、多少の知識、経験があったので対処できましたが、ない場合でも鵜呑みにせずに対処可能です。業者に必要性を聞き、それをメモしておきネットに質問することです。教えたがりがたくさんいて、分りやすい回答が寄せられることが多々あります。

 

特に、アプリケーション(ソフトウェア)に比べ、ハードウェアは業者提案の是非を質問としてネットに投げかけると親切なアドバイスを受けることがあります。そのアドバイスが適切か否かを判断する多少の知識、経験は必要ですが、ネットで情報収集できる時代を大いに活用すべきです。実際、あちこちのサイトのQAをみると素人の質問に分りやすく丁寧に教えてくれる親切なボランティアが多数いることがわかります。なかには背伸びしたアドバイスを見かけることがありますが、これらを利用しながらチェックすれば過剰な見積りを見破ることができます。もちろん、知識経験を持った友人からアドバイスを受けることは言うまでもありません。

一般的に、CPUは速い方が良いし、メモリはたくさんあった方が良いのは常識的に分ります。バックアップ機能も必須です。しかし、運用するアプリケーションの性格、現状のリソース使用状況を考慮せず一般論で臨むと、費用は幾らでも増えてしまいます。あるN社系の地方システムベンダからFTサーバを購入する際、提案してきたハード仕様がオーバスペックと判断したことがあります。ベンダが提案してきたハードウェアに対し、どの様なコメントをしたかを項目毎に簡単に説明します。

①CPU増設の提案
一般的な事務アプリケーションは、CPUに負荷がかかるものは少なく、むしろI/Oが多い傾向があります。しかも、事前に行ったパフォーマンスモニタを使った測定では、CPU利用率は4%前後となっており、CPUネックになる懸念は少なく、CPU増設どころか基本構成のCPUで十分。この提案は拒否

②メモリの増設
パフォーマンスモニタで、メモリが不足している兆候がないことを確認済み。増設する必要はなく、基本構成で十分として提案を拒否。
③LANボードの増設
増設する必要のない運用形態であり、増設する必要がなく、提案を拒否。
④内蔵HDDの増設
現状OS(Linux)、DB(Postgress)、アプリケーション、ユーザデータを含め現状約20GBしか使っていない。成長を勘案しても提案の146.5GBもの増設を提案する意図が分らず、提案拒否。
⑤外付けバックアップ装置の増設
バックアップは重要だが、院内ネットワーク経由、運用責任者、副責任者のPCのHDDにバックアップすることで代用する運用にするので、不要。

⑥電源のプレスケジュールのためのSmartUPS制御
24時間、365日運用であり、電源のプレスケジュール運転はしない。細かな制御をする必要はなく、インテリジェントな制御のための機能は不要。電力会社からの停電連絡があれば、手動で計画停止する。また、電源という大本を制御するソフトウェアに不具合が生じると、電源は供給されているのにシステムが止まる危険も懸念される。何でも自動が良いわけではない。不要!

 

彼らの提案書にコメントすると以下のとおりです。

この業者の悪質なことは、不要としたものを再度提案してきたことです。

不要の指摘に対して変更せず同じ提案を繰り返してきたベンダ担当者は出入り禁止にしましたが、クライアントがこの方面に疎いことを良いことに、オーバースペックの提案をしてきたこのベンダには呆れました。そもそも、彼らから事前のヒアリングを受けることがなかった時点でおかしいということです。事前ヒアリングがなく、問い合わせもない状態で提案してくるというあり得ない商売の仕方なので、コンサルタントとしては排除しようと思いましたが、業者とクライアントとの付き合いが長いこと、および地方なので代わりの業者が見つけにくいことを考慮し、基本スペック通りのFTサーバは導入しました。

 

俗に足元を見ると言いますが、IT系の難しそうな専門用語をちりばめて煙に巻く彼らにやられるのは、予算があり情報システムに関しては素人で、丸投げ傾向にある自治体や医療機関というのが、都庁、病院のコンサル経験を持つ私の見方です。皆さん、気を付けましょう。

 

※質問はosugisama@gmail.comにどうぞ!

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