2025年の崖という2025年問題が取り沙汰されるようになりました。このレポートを見ると、多くの経営者が、将来の成長、競争力強化のために、新たなデジタル技術を活用して新たなビジネス・モデルを創出・柔軟に改変するデジタル・トランスフォーメーション (DX)の必要性について理解しているものの、 既存システムが事業部門ごとに構築されていて、全社横断的なデータ活用ができなかったり、過剰なカスタマイズがなされているなどにより、複雑化・ブラックボックス化していて、・ 経営者がDXを望んでも統一なく乱立しているこれら既存システムの問題を解決しないとそれを実現できない現状があるとのことです。しかし、既存システムを統一された設計思想の下に業務の見直しを含めて再構築するには、長年その環境に慣れてきた現場の抵抗が大きいことが予想されます。しかし、手をこまねいていると、2015年以降、最大12兆円/年(現在の約3倍)の経済損失が生じる可能性があるそうで、これを2025年の崖/2025年問題と称しているそうです。
ふ~ん、またこんなキャンペーンが始まったかと思うのは私だけではなく、長年この業界に身を置き、第一線で泥をかぶり、地に這いつくばってきた方々は同じ感想を持つでしょう。これを理解するには、今話題のDXを理解する必要があります。

 

DXは、このブログでも既に取上げていますが、新しい言葉に惑われず、その本質を理解しなければなりません。IT/ICT/IOT(ユビキタス)なども同じです。AIは2045年に起きると言われているシンギュラリティに向かって、研究者たちの努力が続いているようですが、センセ―ショナルな話題で騒ぎ立てることでメシのネタにしたいメディアの皆さんは一生懸命ですが、現状では自律的に機能するという目標をクリアできる見通しはありません。そこにもってきて今度はDX

 

DXとは一体何者でしょう。

スエーデンの偉い先生が提唱した概念ですが、それをそのまま紹介すると・・・ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させるというものだそうです。ピンときませんが、ITの浸透が社会生活に良い影響を及ぼすと解釈すれば、なるほどと思います。しかし、それはDXという言葉が出て来る以前からそのようになっています。SUICAに代表される自動改札ほど目に見えて万人に役に立っているものはありませんが、これはIT応用の好例です。旅行代理店に赴かなくてもインターネットで予約が取れるのも便利だし、インターネット、PCの環境と操作ができることが求められるという制限があるものの、自治体のホームページには各種案内、サービスが掲載され電話をしなくても、出向かなくても居ながらにして情報を入手することができます。

今大変なコロナワクチン接種も、各種情報が得られるようになっています。

公共料金の支払い、クレジットカードの請求、領収詳細もWeb上で見られます。電力もスマートメータの登場で検針員が不要になり、銀行口座とリンクしているので、わざわざ銀行窓口まで行く必要がありません。自動引き落としを好まず、銀行の窓口まで行きたくない人には、近くのコンビニで支払いが可能になっています。これもITが生活の隅々まで浸透してきてるお蔭です。居ながらにして買い物ができるオンラインショッピングなら、都会いようが地方にいようが居住地に無関係に買い物ができ、届けてもらえます。私も本を購入したことがありますが、その顛末は既にブログに書いてあります(クリック)が、これらは全て、ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させるというDX提唱者のいうことが既に実現されていることの証左です。しかし、更にIT化を進めようということなのか、経産省のホームページには、DXレポートなるものが紹介されています。デジタル庁が新設されましたが、旗振り役が複数いることで余分なエネルギーが費やされるのではないかと懸念しています。

DXとITとの違いとして、DXはデジタルテクノロジーを駆使して、企業経営や業務プロセスそのものを根本的に改善していくような取り組みのことを指し、一方、ITは情報伝達技術だそうです。この説明をした有識者がどなたなのか分かりませんが、こんな単純なITの説明で恥ずかしくないでしょうか。多分、現場を知らず、システム(アプリケーション)を作った経験がないのでしょう。ITを深く理解していれば、DXとやらが目指すものと同じであることが分かるでしょう。ITをわざわざDXに置き換えてしまう狙いがわかりませんが、新語を作って新しいことをやろうとしている雰囲気を作り、興味を持ってもらおうとしているのかもしれません。

 

デジタルテクノロジーを利用することは同じですが、利用目的が異なる点に違いがあるといえるでしょうなどと定義する理解の浅さを披歴してしまう物知り顔の方もいます・・・これらの解説をした人物がどのよう方か存じませんが、歴史を知らず、視野が狭く、底も浅く、実務で汗をかいたことがなく、机上で仕事をしていた頭でっかち評論家、学者、コンサルタントのそしりを免れないでしょう。この類の皆さん、ITに通信を加えたICTという時点でアウトです。インフォメーションテクノロジのインフォメーションは通信環境(ネットワーク)がない情報交換できません。ITにネットワーク、通信が含まれていないと考えていた人は、本当になにも分かっていない人なんだと思います。

2025年の崖とか2025年問題なんかありません。DXも問題ありません。全ては、統一された設計思想の下で統合情報システムを作れば終わりです
 

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