ブログで最も見られているのは7/19に書いた河北健診クリニックの技量不足な医師達によって4年もの間、検査結果が見落とされ、患者が死亡したもの(クリック)でした。4年に亘って名の通った病院で定期健診を受け、問題なしとされていた患者とその家族の無念は計り知れません。病変を乳首と勘違いした医師の技量というか観察力のなさは驚くべきことですが、放射線診断医がせっかく見つけて画像診断報告書に書いても、それを(自分がオーダしたのに)見ない主治医がいたというあり得ない話もあり、ブログで紹介しました。名大病院での事例です(クリック)。

しかし、名大だけではなく千葉大など有名病院でもありました。NHKクローズアップ現代で、60代の女性患者の場合が紹介されていました。
腸の疾患で来院CT検査画像読影の専門医腎臓がんの疑い画像診断報告書主治医に伝わらない(主治医が見ていない)4年以上放置(治療せず)分かったときには成す術がなかった患者死亡 という事例です。原因は院内の情報伝達疎漏とのこと。千葉大では、平成25年からの5年間で検査結果を正しく判断できなかったり、情報連携ができずに時期を逸した治療になってしまったり、死亡した患者が9名いましたが、そのうち、6名が関係者間での情報連携疎漏が原因だったことが報告されています(NHKクローズアップ現代)。

主治医なのに、自分がオーダした検査結果を見ないとは、論外ですが、百歩譲って多忙を極めている中で偶然見過ごしたとしても、それで患者の生命が脅かされ、患者は医師、病院を恨みつつ家族と別れる運命に追いやられてしまいます。人間ならではの不注意、うっかりミスを防ぐには、スローガンを掲げ唱和するとか、注意を徹底するとかの精神論ではいけません。大概、一過性に終わり、時間の経過と共に効果は薄れてしまいます。
以前のクライアントで患者間違えを起こした際のヒヤリハット報告書に以下のような報告がなされ、実効性のない上長のコメントがありました。

多分、どこの病院でも似たようなことが起き、その都度、これと同じような報告とコメントがされていると思います。『確認すること』、『忙しい時こそ確認が必要』などという教科書のようなことで済ませていては、再発必至です。そこで、統合情報システムを作る際には、次のような仕掛けを作りました。精神論ではなく、この様なシステムを作れば確実に回避できます。それが実現できるハードウェア、ソフトウェア技術、製品がリーズナブルな価格で市場に出回っているのが今の時代、目的に従ってこれらを組み合わせれば問題なく実装可能です。

この例のように、主治医は自分がオーダした検査の結果を必ず見させる手段をシステムで提供することができます。それほど面倒ではない処理なので、普通のSEでも考えつくと思いますが、参考までに以下に。

お仕着せのパッケージにはこの様な機能はなく、機能を追加することは(できなくはありませんが)困難です。千葉大学病院では今回の事件を受け、システム担当要員がオーダした検査結果を読んでいない未読状態のレポート検索し、当該医師に電話で連絡するという方法を採っていました(NHKクローズアップ現代)。

パッケージの既存機能を使った窮余の策ではありますが、電話では相手が診察、オペ中などで電話がとれない場合もあるし、伝えただけで終わってしまう可能性があります。医師に伝えたという証拠も残りません。そもそも『分かりました、あとで見ます』・・・再発必至です。そもそも、この病院の電子カルテ、医師が意識して見ないとみられないというユーザインターフェイス(UI)では、アウトです!現場/業務を知らないSEが作ったことが良く分かるシステム(パッケージ)です。

 

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