15年前まで、明治から続いていた、実家の料理屋を手伝っていた。

暮れになると、町内に住む大工の頭領が、玄関と仏壇に、しめ繩を飾りに来る。

丁寧に自分でよった縄だ。

そのころは、家業のお節料理も佳境に入っていて、皆、もくもくと手を動かしている。

そして、お節の配達も済み、お疲れ様の乾杯をして一年を終える…。

母には、31日に必ず訪れる、大事な客があり、やはりホッとした顔をする。

年が明ければ、魚市場が始まる五日までのんびりだ。

旅行もいいけれど、家にいて、氏神さまにお参りし、友と飲み、姪や甥にお年玉を渡す…。

夕食は、町内の寿司屋から特上が届く。

今はどうか知らないけれど、昔は、寿司屋の休みは二日からだったような気がする。

箱根の観光旅館で働き始めてから、まったく縁のなくなった世界だけれど、今年、自分の店を出せる話が来ている。

代々続いた屋号を復活し、なにより、昔の生活を取り戻したいね。

早く昔になればいい…。