気楽に行こうよ、という意味の英語を探していて、
easy come, easy go!
というフレーズが頭に浮かんだが、残念ながら、気楽に行こうよ、という意味ではなかった……。
その代りに、
lighten up!
という言葉があると知った。
手抜きする、とか、ルーズにする、という意味ではなしに、
少し、緩めてみては――。
というくらいの意味で。
近所の居酒屋で晩酌セットを頼んでいて、
最後のおにぎりの時に、
「すずめちゃん、おにぎりはどうする?」
「たらこ(-.-↑↑」
「ないからっ!」
というやりとりを、ここ数年、2~30回は繰り返した。
近所の居酒屋は、たらこを置かない主義なのだ。
おそらく、コンサルタントか誰かに指導されたに違いない。
その割に、たまに自分でたらこを食べている。
自分用にたらこを買ったりすることはあるようだ。
自分用のたらこがあるのだから、お客様に出してもよさそうなものである。
こういう場合、私はたらこのおにぎりを獲得するために、
ママの理論武装(あるいは結界)を外すための言語操作(要するにアタック)を試みるのが普通だ。
しかし、これはこれで私の主義というものがあり、
相手が設定した結界を、あの手この手で、こじあけることはしたくない。
「たらこがいいな」
「ないから!」
というやりとりを繰り返すばかりである。
かくして、幾星霜が過ぎ去った。
ある日曜日の仕事帰りに電話して、
「ママ、今日お店あいてる?」
「もち、あいてるよ」
「たらこはある?」
「ないからっ!」
「残念です……」
というやりとりをした。
もうダメか……。たらこのことはあきらめよう。
そう思った。
そんなある日、ついに、
「すずめちゃん、今日はたらこあるよ」
「ひょっ(-.-!!」
「高いからね!」
「私の財布が悲鳴を上げない程度にお願いします」
というやりとりになり、
たらこをおいしくいただくことができたのだった。
しかも、たらこと卵と調味料を絶妙にあえたものを、
海苔にべったり塗って、ご飯と一緒に食べる。
通常のメニューにはない一品となっていた。
これはとても美味しい。
そして、とても嬉しかった。
きっと、こういうことは、これから毎回なくてよく、
今回の一回だけも十分満足だ。
悲しいかな、
毎週一回、晩酌セット+1くらいの単価で、
しょぼしょぼ飲んでいても、
「すずめ君のために、たらこを用意しておこう」とはならない。
それはつまり、
常連さんとしてのステイタスがないということなのだ。
までも、たまには常連さんっぽい扱いを受けても罰は当たるまい。
lighten up!に感謝☆
