
目が覚めたら、僕を運ぶ小田急線各駅停車は「鶴川」という見たことも聞いたことも、もちろん下りたこともない駅に停車していた。
僕は寝呆け眼をこすりながらも戸惑いを隠すことが出来ず、ただ怯えた表情のまま、ドアの上に貼られた路線図を凝視していた。
どうやら、まもなく町田駅に到着するらしい。
鶴川駅などというドラフト5位にも引っ掛からなさそうな無名駅で下りるよりも、ここははやる気持ちをグッと抑えて、大遊戯場・町田ステイションで下りた方が得策である。
寝呆けながらも僕はそう判断を下し、数分の後に町田駅へと下り立った。
しかし、深夜の町田に出て、僕はかなり面食らってしまった。
行く道行く道にヤンキー、外人、ポン引きの雨嵐なのである。
このような恐ろしい暗黒魔界都市を徘徊するには、ホイミすらも習得していない僕にとって時期尚早であると判断し、早急に漫画喫茶へと足を運んだ。
何はなくとも、宿である。ロールプレイングの基本と云えよう。
さて、結果だけを書いてしまうと、僕の財布には500円しか残されていなかった。
コンビニのATMに救いを求めたが、祝日のせいかお金を下ろすことができない。
「ピーピピー」というコンビニATMのエラー音が、まるで「痛恨の一撃!」と言っているように聞こえた。
覚悟を決めた僕は、いよいよ魔王を倒す、じゃなかった、行けるところまで歩いて行くことに決めた。
交番に立ち寄って正確な情報を集め、コンビニで旅に最低限必要となる水と食料を買い求めた。
いざ、出発である。
だらだらとこのブログを書いたりしながら歩みを進め、既に1時間弱の時間が経過した。
町田界隈が果てしなく田舎であり、真っ暗闇に本気で怯えることも多々あったか、今のところ旅は順調である。
ただ、いくら歩いても次の駅に着かない。
いつか華麗にスルーした鶴川駅などは、影も形も見えてこない。
これはもしかすると「都心から離れる程に駅間の距離が長くなる法則」が働いているのかもしれない。
先程から、人の姿がまるで見えないことと併せて、大きな懸念事項である。
何より、足が疲れた。
せめてホイミぐらいは覚えておくべきだったかもしれないと、僕は今本気で考えている。
♪今の気分的一曲
いかれたBaby / フィッシュマンズ